2014年12月17日

貿易統計14年11月~先行きの貿易赤字は一段と縮小へ

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・貿易赤字は大幅に縮小
・原油価格の大幅下落で貿易赤字の縮小が続く公算
・輸出は持ち直し、輸入は低調


■要旨

財務省が12月17日に公表した貿易統計によると、14年11月の貿易収支は▲8,919億円の赤字となったが、赤字幅は市場予想(QUICK集計:▲9,960億円、当社予想は▲9,313億円)を下回った。輸出が前年比4.9%(10月:同9.6%)と増加を維持する一方、輸入が前年比▲1.7%(10月:同3.1%)と3ヵ月ぶりの減少となったため、貿易収支は前年に比べ4,092億円の大幅改善となった。

季節調整済の貿易収支は▲9,250億円の赤字となり、10月の▲9,851億円から赤字幅が縮小した。輸出が前月比0.3%(10月:同1.6%)と6ヵ月連続で増加する一方、輸入が前月比▲0.5%(10月:同0.0%)と3ヵ月ぶりに減少した。
11月の貿易赤字(季節調整値)は直近のピークであった14年1月(▲17,265億円)からほぼ半減したが、足もとの原油価格急落は貿易統計にはまだ一部しか反映されていない。足もとの原油価格はWTI先物、ドバイ原油ともに1バレル=50ドル台半ばとなっているが、11月の通関(入着)ベースの原油価格は1バレル=87ドル(当研究所による試算値)で、それよりも5割以上高い。通関ベースの原油価格は12月以降も大幅な下落が続くだろう。
また、現時点では円安の急進が原油価格の下落を相殺し輸入価格は高止まりしているが、ここにきて円安が一段落していることもあり、先行きは原油価格の下落が輸入価格の低下、貿易赤字の縮小に直結することが見込まれる。
現時点では貿易赤字(季節調整済)は15年春頃には▲5,000億円程度まで縮小すると予想している。

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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