- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- インドと中国~中国経済の新たな脅威に浮上してきたモディノミクス
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
<要旨>
1―モディノミクスの核心
インドでは5月26日に人民党(BJP)のナレンドラ・モディ氏が新首相に就任した。政権公約を見ると前政権の路線と大きな変わりはないようにも見えるが、外国資本の誘致については、複数ブランドの小売分野に消極姿勢を示す一方、製造業には極めて積極的である。小売業は後に回し、製造業への外国資本の誘致を先に進めることで、政権内の対立を最小限に抑えて構造改革を進めるというのがモディノミクスの核心だろう。
2―インドと中国、両国が抱えた事情
インドが経済発展のスピードを加速するためには、既に育った第三次産業に研きをかけるとともに、製造業の育成に注力する必要がある。一方、中国では既存の成長モデルが限界に達し経済成長率はじりじりと低下、高付加価値型の製造業の育成を急ぐとともに、既にシェアを獲得している低付加価値型の製造業の流出ペースをできる限り遅らせて、雇用不安を招かずに構造改革を進めることがポイントとなる。
3―中国経済を脅かすモディノミクス
モディノミクスが本格的に動き出すと中国経済にとっては新たな脅威になる。巨大な労働力を抱えるインドへと、中国から急激に工場が流出すると、中国で雇用不安が起きる恐れがあるからだ。もちろん、インドが製造業を育成しようとしても進まない可能性もある。但し、「寺院よりもトイレ」と誤解を恐れず発言するモディ首相には、これまでのインドの停滞を打破できるのではないかと思わせるところがある。
モディ首相の熱意が伝われば、潜在的に大きなビジネスチャンスを抱えているインドだけに、リスクを覚悟の上で新たに進出しようとする日本企業もでてくるだろう。それはまた、中国経済にとって大きな脅威ともなるのだろう。
(2014年09月17日「ニッセイ景況アンケート」)
このレポートの関連カテゴリ
三尾 幸吉郎
三尾 幸吉郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2024/12/16 | 図表でみる世界のGDP-日本が置かれている現状と世界のトレンド | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
2024/07/30 | 図表でみる世界の人口ピラミッド | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
2024/04/05 | 不動産バブルの日中比較と中国経済の展望 | 三尾 幸吉郎 | 基礎研マンスリー |
2024/03/11 | Comparison of Real Estate Bubbles in China and Japan, and Prospects for the Chinese Economy | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レポート |
新着記事
-
2025年03月18日
今週のレポート・コラムまとめ【3/11-3/17発行分】 -
2025年03月17日
「共に民主党」の李在明代表の大統領の夢はどうなるのか?-尹錫悦大統領の釈放で政局は不透明な状況へと突入- -
2025年03月17日
あなたはイカサマサイコロを見抜けますか? -
2025年03月17日
欧州経済見通し-緩慢な回復、取り巻く不確実性は大きい -
2025年03月17日
アンケート調査から読み解く物流施設利用の現状と方向性(2)~倉庫管理システムと冷蔵・冷凍機能を拡充。地震対策・電源確保と自動化が一層進む。従業員の健康配慮を重視。
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【インドと中国~中国経済の新たな脅威に浮上してきたモディノミクス】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
インドと中国~中国経済の新たな脅威に浮上してきたモディノミクスのレポート Topへ