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- 【マレーシア4-6月期GDP】前年同期比+6.4%~内需鈍化も輸出拡大で加速~
1.4-6月期は前年同期比+6.4%
マレーシア統計庁(DOSM)は8月15 日に2014 年4-6月期の国内総生産(GDP)を公表した。実質GDP成長率は前年同期比(原系列)+6.4%の増加となり、前期(同:+6.2%)および市場予想(Bloomberg)の同+5.8%を上回る高成長となった。また、前期比(季節調整済)で見ると+1.8%増と前期(同+0.8%)から加速した。
2.財政健全化、金融正常化が景気の下押し圧力に
GDP統計を見ると、マレーシア経済は政府部門が低迷しているものの、堅調な民間部門と輸出の拡大が高成長を支えている。外需依存度の高いマレーシア経済では、今後も米国主導の緩やかな世界景気の回復を受け、輸出が増加傾向を続けると見込まれる。輸出拡大は製造業の設備投資や雇用の拡大、賃上げを促し、民間消費・投資は底堅く推移していくと見込まれる。結果、内外需ともに安定した成長を続けるだろう。ただし、当面は財政健全化と金融正常化により、内需には下押し圧力が働きやすい状況が続くために、注意が必要だ。
政府は、財政再建に取り組んでおり、昨年は燃料小売価格の引上げ(9月)、砂糖小売価格の引上げ(10月)を実施し、今年に入ってからも電気・ガス料金の値上げ(1月、5月)を実施している。さらに、政府は追加の燃料補助金の削減について現在も検討を進めるほか、来年4月には物品・サービス税の導入を予定するなど、今後も財政再建による消費・投資への下押し圧力がかかるもの見込まれる。
中央銀行は7月10日、政策金利を+0.25%引き上げた。今回の利上げは、インフレ率の抑制に加えて、実質金利の上昇を通じて過熱する住宅市況を鎮静化し、家計債務残高を抑制することが期待される。しかし、先行きも家計債務残高の改善が見られない場合や、追加の補助金削減やリンギット安による輸入インフレ圧力などで高めのインフレ率が続く場合には、年内にも追加利上げされる公算が高い。金融引締めは企業の設備投資の抑制、個人の消費意欲の減退など景気にブレーキがかかるだけに、今後の中央銀行の動きには注目が集まる。
財政再建や金融正常化は経済の持続可能性や市場の信認を高めることができるため、こうした一連の取り組みは好ましい動きである。しかし、改革ペースを誤れば成長率が大幅に減速するリスクもあるため、政府と中央銀行には慎重な判断が求められる。
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- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
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