2014年06月27日

中国経済:最近の景気回復は本物なのか?~需給両面や電力消費・貨物輸送など景気10指標でチェックして見ると・・・

三尾 幸吉郎

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  1. 中国で景気動向を示す代表的な指標としては以下の10指標が挙げられる。需要面から景気を捉える上では、小売売上高、固定資産投資、輸出の3つ。供給面から景気を捉える上では工業生産、製造業のPMI、非製造業の商務活動指数の3つ。それに電力消費量、貨物輸送量、生産者物価、通貨供給量(M2)の4つを加えた全10指標である。
  2. 景気が良くなっているのか悪化しているのかを見るため、3ヵ月前と比べて上向きであれば“○”下向きであれば“×”とし、その結果をまとめたのが下左図である。昨年夏場には、7月には○の数が5つ、8月には7つ、9月には9つと増え、成長率も7-9月期は前期比2.3%増(年率換算では9%台半ば)へ加速したが、その後は徐々に減少、2月には全てが×に落ち込んだ。そして、3-4月には○が4つ、5月には全てが○となり景気には明るさがでてきた。
  3. しかし、今回の景気回復は力強さに欠ける点が目立つ。(1)小売売上高、工業生産、電力消費量はともに3ヵ月前に比べて上向いているもののその回復の勢いは鈍い、(2)製造業のPMI、非製造業の商務活動指数はともに上向いているが予想指数には頭打ち感がある、(3)鉄道の貨物輸送量は上向いてきたものの道路・水路では伸びが鈍化(下右図)、(4)住宅販売減に伴う不動産投資の減速はこれからが本番で固定資産投資の伸びは今後も鈍化すると見られる。
  4. 2014年4-6月期の実質GDP成長率は当研究所の回帰モデルでは前年同期比7.4%増と推計される。但し、(1)6月には非製造業の商務活動指数が上昇する可能性があること、(2)今年の夏収穫は豊作となりそうなこと、(3)景気10指標が揃って上向いていることなどから、回帰モデルの予測値を上方修正して、同7.5%増と予想することとした。但し、今回の景気回復は力強さに欠ける点が目立つことから、その後(7-9月期)の成長率は再び鈍化すると見ている。
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