- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 消費者物価(全国14年3月、東京14年4月)~消費税率引き上げ分はほぼフル転嫁
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
■見出し
・コアCPIは4ヵ月連続で前年比1.3%
・4月の東京都区部では消費税率引き上げ分がほぼフル転嫁
・4月の全国コアCPIはバブル期以来の3%台へ
■要旨
総務省が4月25日に公表した消費者物価指数によると、14年3月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比1.3%(2月:同1.3%)となった。エネルギー、生鮮食品を除く食料の伸びは若干高まったが、このところ上昇ペースの加速が続いてきた家庭用耐久財、教養娯楽耐久財の伸びが鈍化したことがコアCPIを押し下げた。
14年4月の東京都区部のコアCPIは前年比2.7%(3月:同1.0%)となり、上昇率は前月から1.7ポイント拡大した消費税率は4/1に5%から8%へと引き上げられた。消費者物価指数に占める非課税品目 の割合が3割強、経過措置で新税率の適用が5月以降となる品目 が1割弱(いずれも東京都区部の生鮮食品を除く総合に対する割合)であるため、4月に消費税率引き上げの影響を受ける品目の割合は6割弱となる。この点を考慮すると、消費税率引き上げにより4月のコアCPI上昇率は1.7%ポイント押し上げられる計算となるが、実際の上昇率の拡大幅はこれと一致した。
内訳を見ると、消費税の課税品目(4月から新税率適用)の上昇率が3月の前年比0.8%から同3.7%へとなり、上昇率の拡大幅は消費税率引き上げ分(2.86%(=(1.08-1.05)÷1.05)と一致した。非課税品目は前年比0.3%と3月と変わらず、経過措置により新税率の適用が5月以降となる品目は3月の前年比4.4%から同5.1%へと伸び率が若干高まった。
前月との寄与度差をみると、課税品目が1.6%、非課税品目が0.0%、経過措置品目が0.1%であった。4月のコアCPIの上昇率拡大のほとんどが消費税の課税品目によるものであり、税率引き上げ分がほぼフル転嫁される形となった。
東京都区部の4月速報の結果を受けて、現時点では4月の全国コアCPIは前年比3.0%と、91年8月(3.0%)以来の3%台になると予想する。消費税率の引き上げにより4月の全国コアCPI上昇率は東京都区部と同じく+1.7%ポイント程度押し上げられることが見込まれる。また、5月のコアCPIは、4月は旧税率が適用されている経過措置品目に新税率が適用されることから、さらに0.3%ポイント程度押し上げられる。
このため、全国のコアCPIは夏頃までは前年比で3%台前半の伸びが続く可能性が高い。ただし、消費税率引き上げに伴う景気減速によって需給バランスが悪化すること、円安効果の一巡から輸入物価の伸びが低下することなどから、その後は伸び率が徐々に鈍化し、年末にかけては2%台後半(消費税率引き上げの影響を除くと0%台後半)の伸びになると予想する。
(2014年04月25日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1836
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
斎藤 太郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/03/21 | 消費者物価(全国25年2月)-コアCPI上昇率は当面3%前後で推移する見通し | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2025/03/19 | 貿易統計25年2月-関税引き上げ前の駆け込みもあり、貿易収支(季節調整値)が黒字に | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2025/03/11 | 2024~2026年度経済見通し-24年10-12月期GDP2次速報後改定 | 斎藤 太郎 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/03/07 | 可処分所得を下押しする家計負担の増加-インフレ下で求められるブラケットクリープへの対応 | 斎藤 太郎 | 基礎研マンスリー |
新着記事
-
2025年03月21日
東南アジア経済の見通し~景気は堅調維持、米通商政策が下振れリスクに -
2025年03月21日
勤務間インターバル制度は日本に定着するのか?~労働時間の適正化と「働きたい人が働ける環境」のバランスを考える~ -
2025年03月21日
医療DXの現状 -
2025年03月21日
英国雇用関連統計(25年2月)-給与(中央値)伸び率は5.0%まで低下 -
2025年03月21日
宇宙天気現象に関するリスク-太陽フレアなどのピークに入っている今日この頃
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【消費者物価(全国14年3月、東京14年4月)~消費税率引き上げ分はほぼフル転嫁】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
消費者物価(全国14年3月、東京14年4月)~消費税率引き上げ分はほぼフル転嫁のレポート Topへ