- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 金融・為替 >
- 金融政策 >
- 金融市場の動き(4月号)~短観「企業の物価見通し」を読み解く
2014年04月04日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
- (短観) 3月調査日銀短観から、「企業の物価見通し」の集計・公表が開始された。物価見通しの平均値は前年比で1.5%~1.7%という結果であった。日銀が掲げる2%の物価目標には届いていないものの、近い水準が示された形だ。ただし、回答分布を見ると、2%近いインフレ期待が企業に幅広く浸透しているとは言い難い面もある。また、物価見通しの上昇率に対して自社の販売価格見通しの上昇率が極めて低い点も気になる。企業がこのような状況を本当に想定しているのであれば、かなり悲観的な姿勢だと言わざるを得ない。日銀は「期待インフレ率の上昇を通じた投資活性化」を重視しているが、期待インフレ率が上がっても、企業が自社の販売価格を上げられないと思っているのであれば、採算悪化懸念から投資に慎重にならざるを得ないだろう。さらに、別の可能性としてバイアスにも注意が必要だ。日銀短観の別項目である「販売価格判断D.I.」と「仕入価格判断D.I.」には、従来かなり強いバイアスの存在がうかがわれる。従って、今回は単に「2%物価目標に近くて良かった」と手放しに評価は出来ない。
- (日米欧金融政策) 3月の金融政策は、日欧で現状維持となったが、FRBが量的緩和の追加縮小を決定した。イエレンFRB議長は会見で量的緩和終了後、利上げに至るまでの期間について言及。会見を受けて利上げ前倒し観測がにわかに高まった。
- (金融市場の動き) 3月はドル円が上昇、ユーロドルが横ばいとなり、長期金利はやや上昇した。米景気回復基調が強まることで、ドル円には一旦追い風が吹きそうだが、今後、消費税の影響が具体的に見えてくる時期になると、悲観と追加緩和観測で相場が不安定化しやすくなると見ている。ユーロドルは弱含み、長期金利は横ばいを予想。
(2014年04月04日「Weekly エコノミスト・レター」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
上野 剛志のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/06/19 | 緊迫化する中東情勢、ドル円への影響は?~マーケット・カルテ7月号 | 上野 剛志 | 基礎研マンスリー |
2025/06/18 | 日銀短観(6月調査)予測~大企業製造業の業況判断DIは4ポイント低下の8と予想、設備投資計画も抑制的に | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/06/10 | 貸出・マネタリー統計(25年5月)~都銀と地銀で貸出の勢いに開き、新規貸出金利が大きく上昇 | 上野 剛志 | 経済・金融フラッシュ |
2025/06/06 | 止まらない「現金離れ」~「現金」の未来を考える | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
新着記事
-
2025年06月23日
内国歳入法899条項(案)-TACOで終わらなければ、日本にも影響か? -
2025年06月23日
インフレ時代にオフィス市場で普及が進むと期待されるCPI連動条項 -
2025年06月23日
マスク着用のコミュニケーションへの影響(1)-コロナ禍の研究を経て分かっていること/いないこと -
2025年06月20日
トランプ関税をオプションで考える-影響と対応のヒントを探る -
2025年06月20日
英国金融政策(6月MPC公表)-金利据え置きで従来の利下げペースを維持
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
【金融市場の動き(4月号)~短観「企業の物価見通し」を読み解く】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
金融市場の動き(4月号)~短観「企業の物価見通し」を読み解くのレポート Topへ