- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- アジア経済 >
- 【マレーシアGDP】5%台維持、安定した成長を達成
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1.現状:5%台を維持
マレーシア統計庁(DOSM)は2月12日に2013年10-12月期の国内総生産(GDP)を公表した。実質GDP成長率は前年同期比(原系列)で5.1%の増加となり、前期(同:+5.0%)に続き、5%台を維持、前期比(季節調整済)で見ても2.1%増と前期(同+1.7%)から加速している。一方、2013年通年の成長率では前年比+4.7%(前年:同+5.6%)と減速した。
2.忍耐力が問われる
マレーシアの成長率は通年で4%台の伸び率となったが、米国の量的緩和縮小が開始され、経常赤字を背景に通貨安や高インフレに見舞われる新興国が注目されるなかでは健闘したと言えるだろう。実際、マレーシアでも経常黒字の縮小傾向が続き、経常赤字への転落と通貨安の懸念が生じていたが、輸出の持ち直しによって経常収支は改善、通貨の売り圧力を回避できた。また、生産を見ても輸出の改善を受け、内需関連産業だけでなく輸出関連産業の回復が目立ってきた。
ただし、短期的には成長率のさらなる改善にも期待しにくい。現在のところ好調な内需であるが、今後は政府の財政健全化策により減速していく可能性が高い。米国の量的緩和縮小が開始され、新興国自身が抱える問題が注目されるなかでは、むしろ、マレーシアのように財政赤字などの課題に取り組み、政府の指導力を発揮することが望ましいと評価できるが、短期的には負の影響も生じる。
また、下振れリスクにも依然として警戒が必要だろう。現在のところ輸出は順調に回復しているが、年末は中国・香港向けの輸出に偏っており、中国・香港向けの輸出が失速すると、成長率も再び減速しかねない状況と言える。
こうした状況を鑑みると、足もとで安定した成長を遂げるマレーシア経済ではあるが、過度な楽観も禁物だろう。ただし、財政再建の取り組みは好感でき、成長率の大幅減速を避けつつ、消費税導入などを着実に実行することができれば、中期的には高い成長も期待できるだろう。
(2014年02月13日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1818
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
高山 武士のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/09/12 | ECB政策理事会-2会合連続で全会一致の据え置き決定 | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
2025/09/12 | 欧州経済見通し-関税合意後も不確実性が残る状況は続く | 高山 武士 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/09/11 | ロシアの物価状況(25年8月)-前年比の低下基調が継続、8%台前半に | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
2025/09/05 | トランプ関税後の貿易状況(25年9月更新版) | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
新着記事
-
2025年09月16日
タイの生命保険市場(2024年版) -
2025年09月16日
外国人問題が争点化した背景-取り残されたと憤る層を包摂する政策を -
2025年09月16日
男性の育休取得の現状(2024年度)-過去最高の40.5%へ、産後パパ育休で「すそ野拡大」効果も -
2025年09月16日
今週のレポート・コラムまとめ【9/9-9/12発行分】 -
2025年09月12日
ECB政策理事会-2会合連続で全会一致の据え置き決定
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【【マレーシアGDP】5%台維持、安定した成長を達成】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
【マレーシアGDP】5%台維持、安定した成長を達成のレポート Topへ