- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経営・ビジネス >
- 企業経営・産業政策 >
- 情報は緊急時こそ価値がある
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
正月3日の朝、帰省していた京都の母親宅で寝ぼけ眼でテレビをつけたら、「有楽町で火災、東海道新幹線は全線で運転見合わせ」と報じていた。何の危機感もなくお雑煮を祝った後で再びテレビをつけたらまだ不通…あわててエクスプレス予約していた当日夜の東京行きのぞみを翌日4日に変更しようとしたが、当然ながら満席。
お昼のニュースの中で運転再開の報が流れ、ホッと一安心。しばらくしてJRのホームページで確認すると、午前中の便はほとんど運休になったもようだが午後の便の運休はないようで二安心。「最大で5時間20分遅れるなどダイヤの乱れが続いている」とのニュースにも、5時間20分遅れたのは火災発生前に出発した列車で午後の便はさほどの遅れはなかろうと高をくくって、予約した列車の定時の発車時刻に間に合うように京都駅に向かった。
ところが、京都駅新幹線乗り場は人であふれており、多くの人がホームに上がる階段やコンコースに座りこんでいる。そして情報がない。電光掲示板に直近の出発予定列車が4本表示されているのが唯一の情報だが、各列車が一様に遅れているわけではない。私が京都駅に着いたのは19時頃だったが、その時点では、確か一番上に18時06分発、次に18時02分発、その下に16時43分発…といった要領で、遅れ時間は列車によって異なる。
しばらくして、新大阪始発の列車は遅れが少なく、博多または広島始発の列車は遅れが大きいことに気がついた。実は列車番号で始発駅が分かる。二桁以下は博多始発、100番台は博多または広島始発、200番・300番台は新大阪始発などと決まっている。鉄道オタク見習の私はそのことを知っていたので気がついたわけだが、ほとんどの乗客は訳が分からず、(人によっては自分の予約した列車より1時間以上後の発車予定の列車が先に発車するという不条理を感じながら)自分の予約した列車が電光掲示板に掲示されるのをひたすら待っていた。
列車の遅れはやむを得ないとしても、自分の予約した列車がどれくらい遅れて到着・発車するかが分からないことがつらい。「2時間程度の遅れ」と分かっていれば、駅ビルや駅前でゆっくり食事をとることもできるし、その前に、家を出るのを遅らせることもできる。そして何より、心の安心感が違う。
各列車のおおよその遅れ時間をネットで開示することができないものだろうか。もちろん番線繰りなどの関係で遅れは徐々に拡大していくのだろうが、最新状態の遅れ時間を情報提供すれば、乗客はよほど対応しやすくなると思う。コンコースでも多くの人はスマホや携帯で情報を知ることができ、周りの人に知らせることができる。
開示した遅れ時間よりも早く列車が到着・発車するケースが生じ、乗り遅れて苦情になることを心配されているのかもしれないが、だからといって全く開示しないというのもいかがなものか。少し安全を見て少なめの時間を示して「○時間○分以上」とするとか、工夫の余地はあろう。
いずれにせよ、災害時も含めて、緊急時の情報提供については、平時から色々なケースを想定してよくよく事前準備しておく必要があるようだ。
(2014年01月06日「研究員の眼」)
明田 裕
明田 裕のレポート
新着記事
-
2025年03月19日
日銀短観(3月調査)予測~大企業製造業の業況判断DIは2ポイント低下の12と予想、トランプ関税の影響度に注目 -
2025年03月19日
孤独・孤立対策の推進で必要な手立ては?-自治体は既存の資源や仕組みの活用を、多様な場づくりに向けて民間の役割も重要に -
2025年03月19日
マンションと大規模修繕(6)-中古マンション購入時には修繕・管理情報の確認・理解が大切に -
2025年03月19日
貿易統計25年2月-関税引き上げ前の駆け込みもあり、貿易収支(季節調整値)が黒字に -
2025年03月19日
米住宅着工・許可件数(25年2月)-着工件数(前月比)は悪天候から回復し、前月から大幅増加、市場予想も上回る
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【情報は緊急時こそ価値がある】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
情報は緊急時こそ価値があるのレポート Topへ