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- 3中全会が決めた改革の概要と中国経済に与える影響
2013年12月20日
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■要旨
- 中国では、2013年11月に共産党が第18期3中全会を開催した。1978年の第11期3中全会では“文化大革命”から卒業して“4つの近代化 “へ舵を切り、1993年の第14期3中全会では“社会主義計画経済”を卒業して“社会主義市場経済”へ舵を切るなど、経済発展の節目となる重要な決定を行ってきた。それでは今回は何を決定したのだろうか。
- 今回の決定内容が記載された「改革の全面的深化における若干の重大な問題に関する中共中央の決定」は、約21,600字に及び、16の章、60の項目から構成されている。第1章には全体を貫く基本的な考え方が記載されており、その後の15の章には経済、政治、文化、社会、エコ文明建設、党建設という6つの領域における改革深化の方針が記載されている。その内、経済に関係するのは第1章とその他の8つの章であり、経済に関係する重要な改革の方針が数多く記載されている。
- しかし、今回の決定文を見ただけでは、各分野における改革の方向性は分かっても、今後の経済成長に与える影響は分かりにくい。そこで、(1)国有企業に比べて発展が遅れている民間企業の活力を十分に引き出せるか、(2)製造業や貿易に比べて自由化が遅れている金融の自由化を進めて経済成長の新たな牽引役にできるか、(3)投資に比べて低迷してきた消費を増やせるか の3つの視点から今回の決定文を再整理してみた。
- 結論としては、今回の改革は、“これまで成功してきた経済成長モデル”を卒業して“新たな経済成長モデル”を築くことに主眼があると思われる。国有企業が中心の中国経済を民間企業が中心の市場経済へ切り替えるような大胆な改革ではないものの、民間企業の活力を引き出す工夫がいくつか打ち出されていること、金融自由化が進みそうであること、都市と農村の所得格差是正も加速しそうなことから、“新たな経済成長モデル”を築く上での突破口となりうる改革が含まれているといえるだろう。
(2013年12月20日「基礎研レポート」)
三尾 幸吉郎
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