- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- アジア経済 >
- 【ブラジルGDP】成長鈍化、回復中だがリスクも多い
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1.成長率は再び鈍化
ブラジルの地理統計院(IBGE)は12月3日、2013年7-9月期の国内総生産(GDP)を公表した。実質GDP成長率は前年同期比(原系列)で2.2%の増加となり、前期の+3.3%から減速した。また、前期比(季節調整済)の伸び率は▲0.5%と、大幅加速した前期(同+1.8%)から一転してマイナスとなった。
2.最悪期は脱したが、リスクは残る
7-9月期のGDPからは、成長率の鈍化が見られたが、内需の強さにはほとんど変化がなく、最悪期はすでに脱していると考えられる。むしろ、成長率押し下げの主因である輸入の増加は内需の高まりを示唆しているとも言える。加えて、これまで懸念材料だった高インフレも改善に向かっていることから、年前半に懸念された高インフレと景気低迷の並存というスタグフレーションのリスクは低下しつつあると見られる。
ただし、内需のうち投資が若干鈍化していること、また、輸出の伸び悩みが続く一方で、輸入が増加しているため、貿易収支や経常収支が悪化するリスクがあることなど、先行きの懸念材料も少なくない。貿易収支の悪化は、成長率の低下だけでなく、通貨下落への耐久力を弱くさせるという点でも注意したい。特に、今年は6月に大規模な政府への抗議デモが発生するなど、政治リスクにも注目が集まっている。そのため、米国での量的緩和策が開始された際に、再び資金流出圧力が強まり、再びレアル安や輸入インフレが発生するリスクは払拭できていない。
こうした状況を踏まえれば、ブラジル経済は回復基調にあり、スタグフレーションからの脱却は進みつつあると評価できるものの、先行きの懸念材料が残っている状況と言えるだろう。
(2013年12月04日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1818
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
高山 武士のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/07/07 | トランプ関税前後の貿易状況 | 高山 武士 | 基礎研レター |
2025/07/03 | ユーロ圏失業率(2025年5月)-失業率はやや上昇したが、依然低位安定 | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
2025/07/02 | ユーロ圏消費者物価(25年6月)-総合指数の前年比2%水準が継続 | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
2025/06/20 | 英国金融政策(6月MPC公表)-金利据え置きで従来の利下げペースを維持 | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
新着記事
-
2025年07月10日
企業物価指数2025年6月~ガソリン補助金の影響などで、国内企業物価は前年比3%を割り込む~ -
2025年07月10日
ドイツの生命保険監督を巡る動向(2)-BaFinの2024年Annual ReportやGDVの公表資料からの抜粋報告(生命保険会社等の監督及び業績等の状況)- -
2025年07月09日
バランスシート調整の日中比較(後編)-不良債権処理で後手に回った日本と先手を打ってきた中国 -
2025年07月09日
貸出・マネタリー統計(25年6月)~銀行貸出の伸びが回復、マネタリーベースは前年割れが定着 -
2025年07月09日
景気ウォッチャー調査2025年6月~気温上昇で夏物商材の売れ行きが好調、現状判断DIは2ヵ月連続の上昇~
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【【ブラジルGDP】成長鈍化、回復中だがリスクも多い】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
【ブラジルGDP】成長鈍化、回復中だがリスクも多いのレポート Topへ