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- 【マレーシアGDP】低成長からの脱却ならず
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1.現状:4%前半の低成長が続く
マレーシア統計庁(DOSM)は8月21日に2013年4-6月期の国内総生産(GDP)を公表した。実質GDP成長率は前年同期比(原系列)で4.3%の増加となり、前期の前年同期比+4.1%よりやや加速したものの、4%前半という低成長が続く結果となった。ただし、前期比(季節調整済)で見ると1.4%の増加となり(前期:同▲0.4%)、弱いながらも改善は見られている。
2.内需は強いが、課題も多い
GDP統計を見ると、4%前半という低成長となったが、マレーシアの場合、内需については底堅さが見られている。また、金融市場もタイやインドネシアといった他の新興国と比較して急落を避けられているため、目下の懸念材料は外需と言えるだろう。
ただし、先行きについては、不安材料がいくつか存在する。
まず、個人消費に関して、中央銀行が家計債務策を導入している。政策自体は歓迎されるものだが、短期的には消費がやや鈍る可能性がある。また、5月の総選挙で与党が公約として掲げた、車の販売価格引き下げも、進捗によっては買い控えなど消費への影響が懸念される。
加えて、財政再建が進まないとの見方も強まりつつある。補助金の削減や消費税導入などを含め、具体的にどの程度まで踏み込んだ改革ができるのか確かめる意味でも、10月25日に提出予定の2014年度予算案は注目される。
その他、輸出減速により経常収支が悪化していることも懸念材料である。足もとでは経常黒字を維持、金融市場も安定しているが、経常赤字に転落すれば資本流出が加速する可能性もある。
マレーシアは内需が強いため、現在はGDPの数値ほど悲観的になる必要は無いと思われるが、抱えている課題も多い。マレーシア経済は、これからが正念場と言えるだろう。
(2013年08月22日「経済・金融フラッシュ」)
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- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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