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東日本大震災の発生や新型インフルエンザのパンデミックの懸念などを受けて、企業のBCP(事業継続計画)についての議論が盛んである。BCPは「不測の事態への備え」と言い換えてもよく、保険を活用することが当然に考えられる。
その場合、まず想起されるのは損害保険の活用であろう。大地震で工場設備などが被害を受ける場合に備えて地震保険に加入しようと考えるのは極めて自然なことである。しかしながら、企業向けの地震保険は、再保険の制約などから、保険料率が東日本大震災以降高止まりしており、現実には中小企業が加入することは難しい。
そこで代替策として考えられるのが、(会社を契約者とし)経営者など事業のキーマンを被保険者として生命保険に加入しておくことである。そのココロは、まずキーマンの死亡への備えだ。自然災害や疫病でキーマンが死亡した場合は経営が大きなダメージを受けることが想定されるが、生命保険に加入しておけばそのダメージを一定程度緩和できる。
幸いにキーマンが無事だった場合にも、生命保険の効用はある。災害後には、売上が細る一方、従業員の給与の支払いなどで現金が必要となることが多いが、銀行借り入れが難しいケースもあるだろう。その場合、生命保険に加入して相当の期間が経っていれば一定の解約返戻金が貯まっているので、解約や契約者貸付で現金を得ることができる。
もちろん、後者の効用については、生命保険に加入せず保険料相当分を手元資金として持っていてもいいわけだが、生命保険加入の場合にはキーマン死亡の場合の死亡保険金受け取りの効用があるし、加えて、加入する保険が定期死亡保険であれば、保険料支払い時に一定の節税効果がある。
また、死亡保険金受け取りの効用は、キーマンが災害などでなく交通事故や生活習慣病で亡くなった場合にも発揮されるわけで、汎用的なものである。
もちろん生命保険は企業の被る損害を直接にカバーする訳ではないが、こうしたことを考えれば、生命保険をBCPの一手段として検討対象に加えてもよいのではないだろうか。
(2013年07月18日「研究員の眼」)
明田 裕
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