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先日、安倍政権の成長戦略に関するシンポジウムを聴講しました。講演自体は有意義な内容だったのですが、プログラムの最後の質疑応答の場面で、ちょっとした衝撃を受けました。それは、30代前半と見受けられる、聴衆の中ではかなり若いほうの範疇に入るであろう方から、以下のような質問が出されたからでした。
『日本は、少子高齢化による人口減少が継続していく状況にあり、いくら産業振興や労働力活用を図ったとしても、労働力人口の減少は避けられないと思う。その状況下で、成長などありえるのだろうか。現に、私の世代は、これまでの人口減少に転ずる以前の期間においてさえ、一度も成長を体験したことがない。肌感覚として、成長などありえないという考えを持っているのだが、どうか?』
講演者・パネリスト側は、私と同世代の高度成長期体験組の50代以降の方々でしたが、この率直な質問には驚かれたようであり、『そもそも、そういう懐疑的なマインドが払拭されなければ、成長は困難であろう。』との回答にとどまりました。
私も、この質問には驚いたのですが、良く考えてみると、当然の質問かもしれません。自分が経験していないことを信じることは、並大抵のことではないのでしょう。私の研究所でも、今後の経済成長予測の場面などで、中高年世代の研究員と若い研究員との間で、意見の断層があるようです。
さて、貴重な経験を後世に語り継ごうという取り組みは、数多く行われています。しかしながら、その対象となる経験は、戦争・過酷な労働・震災等の困難な経験ばかりです。確かに、『あの頃は良かった…』と懐古談にふけってみても仕方がないのですが、成功経験についても、5W1Hを踏まえた歴史的事実はしっかりと継承していくべきでしょう。
どうも、我々日本人は、そもそも物事を悲観的に捉えがちな性癖が強いようです1。無理に楽観的になる必要はありませんが、成長の時代を肌感覚で知る我々中高年世代には、成長が現実に存在していたことを、正確に語り継いでいくべき責務があるのではないでしょうか。
若いみなさん、成長は都市伝説ではありません。かつて実存し、今後も実現可能なものなのです!
(2013年07月11日「研究員の眼」)
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