- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- アジア経済 >
- 【台湾GDP】成長は再び鈍化、順調回復ならず
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1.現状:成長率は再び鈍化
台湾の行政院主計処(DGBAS)は4月30日、2013年1-3月期の実質域内総生産(GDP)の速報値を公表した。成長率は前年同期比(原系列)で+1.54%となり、前期の2012年10-12月期(同+3.72%)から大幅に鈍化した。これは同機関が2月時点に予測していた伸び率(同+3.26%)を大きく下回る結果で、前期比(季節調整済)で見ると▲0.81%のマイナス成長だった。
2.先行き:過度に悲観になる必要はないが、不透明感をもたらした
2013年1-3月期のGDPは再び減速するという結果になったが、その主因は輸入の高い伸びと考えられこれは、国内の投資需要の高まりを示唆しているとも言える。主要企業の動向を見ても、企業ごとにバラツキはあるものの、改善傾向が変わったわけではない。
ただし、輸出の改善ペースが遅れていることは、順調な回復に対するリスク要因と言えるだろう。主要産業である半導体関連で、iPhone5やWindows8等の新製品への需要が一服したほか、円安によって競争力が低下するなどの悪影響が生じていることが懸念される。今後、世界経済の回復に伴って、輸出の伸びも改善していくと考えられるものの、こうした悪影響により、その回復にはラグが生じる可能性もある。
また長期的には、従来の受託生産を中心にしたビジネスモデルで高成長を遂げることが難しくなっていることもリスクとして指摘できるだろう。ただし、台湾では、自由経済モデル区(経済特区)を設置し、規制緩和による成長力向上を目指すなど、政府が競争力強化に取り組んでおり、その姿勢は評価できる。長期的な視点からは、こうした政府の取り組みが重要になってくるだろう。
(2013年04月30日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1818
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
高山 武士のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/09/03 | ユーロ圏消費者物価(25年8月)-2%目標付近で横ばい推移が継続 | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
2025/09/02 | ユーロ圏失業率(2025年7月)-若年失業率は過去最低水準を更新 | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
2025/08/20 | 日米欧の産業別の経済成長 | 高山 武士 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/08/15 | 英国GDP(2025年4-6月期)-前期比0.3%でプラス成長を維持 | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
新着記事
-
2025年09月03日
増え行く単身世帯と消費市場への影響(4)-教養娯楽・交際費から見る「自分時間」「人間関係」「自己表現」への投資 -
2025年09月03日
DC制度運営の再点検を -
2025年09月03日
成立した年金制度改正が将来の年金額に与える影響 -
2025年09月03日
日本の人的資本投資の現状と課題 -
2025年09月03日
外国人が支える人口動態~多言語対応等の居住支援が喫緊の課題
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【【台湾GDP】成長は再び鈍化、順調回復ならず】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
【台湾GDP】成長は再び鈍化、順調回復ならずのレポート Topへ