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- 団塊世代の退職による労働市場への影響 ~「2012 年問題」から考える超高齢社会における働き方
2013年02月25日
<要旨>
- 1947年から1949年に生まれた団塊世代は2012年に65歳を迎える。団塊世代が60歳に到達し始めた2007年以降、大量の退職者が発生し深刻な人手不足をもたらすことが、労働市場の「2007年問題」として注目されていた。しかし、定年の引き上げ、勤務延長制度、再雇用制度を導入した企業が増えたことからその影響は当初想定されていたよりは小さかった。一方、団塊世代の多くが労働市場にとどまったことで、2012年以降の影響が大きくなる可能性がある。
- 団塊世代の退職者数は2007年から2011年までの5年間で134万人だったが、年齢毎の労働力率が現在と変わらなければ、2012年から2016年までの5年間で158万人へと増加する。また、労働力人口は総人口を上回るスピードで減少し、2030年には5641万人と現在よりも1000万人近く少なくなる。この場合、総人口に占める労働力人口の割合は2030年には50%を下回り、少数派が多数派を支えなければならない社会になってしまう。
- 長寿化の進行により退職後の期間が長期化しており、退職時点の平均余命は1970年の11年から2011年には19年まで延びている。さらに高齢者の健康状態がかつてよりも改善していることからすれば、労働者はもっと長く働くことが可能と考えられる。
- 高齢者がより長く働くようになる一方、学校卒業と同時に仕事に就いたら定年まで働き続けるという画一的な働き方を改め、30歳~50歳代では仕事以外のことにもっと時間を費やすようになってもよいだろう。そうすれば、若い層に対する企業の人件費負担は軽減され、その分を高齢者に振り向けることも可能となる。このような社会を実現するため、企業や政府は新卒に偏った現在の採用システムを改め、中途採用を増やすことで労働市場の流動化を図るべきだ。中途採用市場が活性化すれば、仕事を辞めたり変えたりすることに対する不安は少なくなり、選択の幅が広がることになるだろう。これまでのように「太く短く」働くのではなく、「細く長く」働くことを前提とした社会システムの構築を目指すべきではないだろうか。
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