2013年01月07日

期待にどこまで応えられるか ~マーケット・カルテ1月号

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

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12月の金融市場は、半ばにかけて新政権による金融緩和強化期待から円安、株高の動きが顕著となり、長期金利は低位で推移した。16日の衆院総選挙で自民党が大きく議席を伸ばしたことを受けた翌17日の市場では、さらに円安、株高が進んだ。

今後の金融市場は政治がこれまで膨らませてきた期待を繋ぎつつ、どれだけ応えていけるかがポイントになる。これまでの円安は投機筋主導で実現しているだけに、短期的には利益確定に伴う調整局面を挟む可能性が高い。ただし、自公政権が衆院で再議決が可能な2/3の議席を確保したことで政治の実行力への期待も根強く、緩和期待は繋がりやすい。また、米国の財政の崖の回避、景気回復に伴うドルの上昇圧力もドル円をサポートするため、大幅な円高の巻き戻しは避けられそうだ。半年後のドル円相場は、現状比で横ばい程度と予想。一方、ユーロについては、現状は円もドルも買いにくい中で消去法的に高値を維持している印象が強く、今後は実体経済の悪さやイタリア政局への不安などから弱含む可能性が高いとみている。半年後の水準は現状比でやや円高ユーロ安と見る。

長期金利については、金融緩和に伴う国債買入れ増額期待から低下圧力がかかるものの、2013年始めに想定される大規模補正予算に伴う国債増発懸念から上昇する局面も。時間軸を伸ばすと、世界経済の持ち直しに伴う海外金利上昇につれて、緩やかに上昇すると見ている。

(執筆時点:2012/12/17)




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(2013年01月07日「基礎研マンスリー」)

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経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴
  • ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
    ・ 2007年 日本経済研究センター派遣
    ・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
    ・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

    ・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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