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2012年10月26日
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- 今年7-9月期の国内総生産(GDP)は前年同期比7.4%増と、前四半期の同7.6%増を0.2ポイント下回り7四半期連続で減速した。先進国と比べれば依然高いとはいえ、中国としてはリーマンショック後の2009年1-3月期以来の低成長となった。但し、前期比でみると2.2%増と前四半期を上回っており、今年1-3月期の1.5%増をボトムに成長ピッチは回復しつつある。
- 需要項目別に見ると、9月は輸出・消費・投資の3つの柱が揃って改善した。輸出は欧州・米国ともに急回復は見込みづらく今後の回復力は限定的とみられるものの、消費は高い賃金上昇とインフレ落ち着きによる実質所得改善を背景に回復傾向が続くとみており、投資は不動産開発投資が鈍化するものの公共投資の前倒しや鉄道建設投資の増額で鈍化傾向に歯止めが掛かることから、中国の内需は回復に向かう兆候が見えてきた。
- 但し、在庫の積み上がりは気になる。9月の工業生産は若干改善したものの、企業家アンケート調査では在庫水準がリーマンショック後と同レベルまで上昇しており、多少の需要回復では生産調整が続いてしまう可能性が高い。但し、サービス産業は企業マインドが好調を維持するなど底堅い動きを示していることから、生産をある程度下支えする要因になるとみている。
- また、現在の金融緩和は、不動産規制を堅持するなど政府の意向に沿った分野に限定した金融緩和となっている。今のところ融資の回復ピッチは鈍いが、政府の意向に沿った「戦略的新興産業」や「省エネ環境保護」の分野で、民間企業が事業チャンスを発掘すれば、融資の回復ピッチが速まる可能性もあるため、今後は民間活力の動向が最大の注目点となるだろう。
- 以上の分析を踏まえ、2012年は実質で7.7%成長、2013年は8.3%成長と予想する。
(2012年10月26日「Weekly エコノミスト・レター」)
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