- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 鉱工業生産12年6月~市場予想を大きく下回り、3ヵ月連続の低下
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
■見出し
・4-6月期は前期比▲2.2%と4四半期ぶりの減産
・7-9月期は増産が見込まれるが、下振れリスクが高い
■introduction
経済産業省が7月30日に公表した鉱工業指数によると、12年6月の鉱工業生産指数は前月比▲0.1%と3ヵ月連続の低下となり、事前の市場予想(QUICK集計:前月比1.6%、当社予想は同1.0%)を大きく下回った。出荷指数は前月比▲1.5%と2ヵ月連続の低下、在庫指数は前月比▲1.4%と2ヵ月連続の低下となった。
5月の大幅減産(前月比▲3.4%)はGWの関係で工場の稼働日数が少ないことが影響しているとみられていたが、6月の生産はそれよりもさらに低い水準となった。生産は実勢として弱含んでいると判断される。
6月の生産を業種別に見ると、在庫調整の進展を受けて電子部品・デバイスは前月比5.6%と4ヵ月ぶりに上昇したが、エコカー補助金再開に伴う国内販売の好調を受けて高い伸びを続けてきた輸送機械が、5月の前月比▲11.1%に続き6月も同▲4.3%と大きく落ち込んだ。速報段階で公表される16業種中、10業種が前月比で低下、6業種が上昇した。この結果、12年4-6月期の生産は前期比▲2.2%と4四半期ぶりに低下した。
製造工業生産予測指数は、12年7月が前月比4.5%、8月が同▲0.6%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(6月)、予測修正率(7月)はそれぞれ▲2.8%、▲0.8%となっており、依然として生産計画を下方修正する動きに歯止めがかからない。
7月の生産計画が高い伸びとなっているのは、情報通信機械(前月比15.7%)、電子部品・デバイス(同19.3%)の2業種によるところが大きいが、実際の生産の伸びはこれを下回る可能性が高い。
また、5月、6月と2ヵ月連続で大きく落ち込んだ輸送機械は7月が前月比▲0.1%、8月が同1.2%と一進一退の動きとなっており、輸送機械がすでに生産の牽引役ではなくなったことを示している。輸送機械の足もとの減産や先行きの生産計画は、エコカー補助金終了後を見越したものと考えられるが、反動減による販売の落ち込みが想定を上回ることにより、さらなる減産を余儀なくされるリスクがあるだろう。
12年6月の生産指数を7月、8月の予測指数で先延ばし(9月は横ばいと仮定)すると、12年7-9月期は前期比2.9%の上昇となる。7-9月期の生産は再び増加に転じることが予想されるが、ここにきて海外経済の減速傾向が一段と鮮明となっていること、輸送機械の生産計画が下振れするリスクがあることなどを考えれば、実際の生産指数の伸びはこれを大きく下回る可能性が高いだろう。
(2012年07月30日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1836
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
斎藤 太郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/05/09 | 人口減少、高齢化は経済成長をどれだけ抑制してきたのか | 斎藤 太郎 | 基礎研マンスリー |
2025/05/02 | 雇用関連統計25年3月-失業率、有効求人倍率ともに横ばい圏内の動きが続く | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2025/04/30 | 2025年1-3月期の実質GDP~前期比▲0.2%(年率▲0.9%)を予測~ | 斎藤 太郎 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/04/30 | 鉱工業生産25年3月-1-3月期は4四半期ぶりの減産、トランプ関税の影響で4月以降も低迷が続く見込み | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
新着記事
-
2025年05月09日
グローバル株式市場動向(2025年4月)-トランプ関税への各国の対応が注目される -
2025年05月09日
英国金融政策(5月MPC公表)-トランプ関税が利下げを後押し -
2025年05月09日
官民連携「EVカーシェア」の現状-GXと地方創生の交差点で進むモビリティ変革の芽 -
2025年05月09日
ESGからサステナビリティへ~ESGは目的達成のための手段である~ -
2025年05月09日
減速に拍車がかかる米労働市場-足元は堅調維持もトランプ政権の高関税政策が継続する場合に大幅な減速は不可避
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【鉱工業生産12年6月~市場予想を大きく下回り、3ヵ月連続の低下】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
鉱工業生産12年6月~市場予想を大きく下回り、3ヵ月連続の低下のレポート Topへ