- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 保険 >
- 中国・アジア保険事情 >
- 変革をみせる中国保険市場~新たな指標にみる生保勢力図~
2012年03月26日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
- 中国保険市場では2006年以降の5年間(第11次5ヵ年計画)で収入保険料等、市場規模が2倍以上拡大し、その成長スピードは経済成長を凌いでいる。世界に眼を転じてみると、2010年時点で収入保険料(生保)は5位、アジアでは日本に次いで2番目の規模となっている。
- 第11次5ヵ年計画の前半は、経済成長や株価の上昇によって投資型保険が好調に伸び、生保の収入保険料総額は2007年が前年比20%増、2008年が同50%増と大幅に増加し続け、市場規模の大幅な拡大がはかられた。
- 一方で、後半は2008年5月の四川大地震、9月の世界的な金融危機といった大きなリスクが顕在化した時期であった。2011年8月には保険業の第12次5ヵ年計画(2011年~2015年)が発表されたが、四川大地震等を受けて巨大災害等における国の制度の補完役としての保険業の役割が再認識されたこと、また、世界的な金融危機後の内需拡大策でインフラ投資など機関投資家として重要な役割を果たしたことによって、金融業における保険業の立ち位置、優位性も大きく向上した。
- しかし、今後の5年間はこれまでと同様に、経済の高度成長など外部環境に牽引された形での成長は厳しいといえる。
- 保監会は今後の市場の成長モデルとして、リスクの高い投資型保険ではなく、保険の本来機能を重視すべきとして、貯蓄型・保障型の商品の拡充、更には個人代理人チャネルの強化を行うとしている。今度5年間で国民の所得が倍増し、保険が最も普及するとされる時期を迎えるにあたって、保監会が成長モデルについて大きく舵を切ったことは意義深い。当然のことながら保監会がいう「新興保険大国」から真の「保険強国」に向けては外資への規制緩和を含め解決すべき課題は多いが、新たなステージに向けて大きな一歩を踏み出したといえる。
(2012年03月26日「基礎研マンスリー」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1784
経歴
- 【職歴】
2005年 ニッセイ基礎研究所(2022年7月より現職)
(2023年 東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程修了) 【社外委員等】
・日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
(2019~2020年度・2023年度~)
・生命保険経営学会 編集委員・海外ニュース委員
・千葉大学客員教授(2024年度~)
・千葉大学客員准教授(2023年度) 【加入団体等】
日本保険学会、社会政策学会、他
博士(学術)
片山 ゆきのレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/02/18 | 中国版iDeCo、全国実施へ【アジア・新興国】中国保険市場の最新動向(67) | 片山 ゆき | 保険・年金フォーカス |
2024/12/23 | 医療保険ウォレット、試行開始(中国) | 片山 ゆき | 研究員の眼 |
2024/12/17 | 黒龍江省の会社員向け年金の積立残高がプラスとなったのはなぜか | 片山 ゆき | 保険・年金フォーカス |
2024/12/13 | 中国、高齢者の暮らし調査-収入源・就労 | 片山 ゆき | 基礎研レター |
新着記事
-
2025年03月18日
今週のレポート・コラムまとめ【3/11-3/17発行分】 -
2025年03月17日
「共に民主党」の李在明代表の大統領の夢はどうなるのか?-尹錫悦大統領の釈放で政局は不透明な状況へと突入- -
2025年03月17日
あなたはイカサマサイコロを見抜けますか? -
2025年03月17日
欧州経済見通し-緩慢な回復、取り巻く不確実性は大きい -
2025年03月17日
アンケート調査から読み解く物流施設利用の現状と方向性(2)~倉庫管理システムと冷蔵・冷凍機能を拡充。地震対策・電源確保と自動化が一層進む。従業員の健康配慮を重視。
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【変革をみせる中国保険市場~新たな指標にみる生保勢力図~】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
変革をみせる中国保険市場~新たな指標にみる生保勢力図~のレポート Topへ