- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 鉱工業生産12年1月~生産は足踏み状態から脱却へ
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
■見出し
・タイの洪水による供給制約の緩和から2ヵ月連続の上昇
・生産は足踏み状態から脱却へ
■introduction
経済産業省が2月29日に公表した鉱工業指数によると、12年1月の鉱工業生産指数は前月比2.0%と2ヵ月連続で上昇し、事前の市場予想(QUICK集計:前月比1.5%、当社予想は同1.2%)を上回った。
1月の生産を業種別に見ると、タイの洪水による供給制約の緩和から12月に高い伸びを記録した輸送機械(12月:前月比13.2%→1月:同3.3%)、情報通信機械(12月:前月比34.8%→1月:同12.0%)が引き続き生産全体を大きく押し上げる形となった。輸送機械はタイの洪水に伴う部品不足の解消に加え、米国向けを中心に輸出が持ち直していること、エコカー補助金再開の効果などから国内の自動車販売が好調であることも追い風となっている。一方、海外経済減速に伴う輸出の低迷を背景に一般機械は前月比▲0.3%の低下、在庫調整の進展から12月に前月比7.0%の高い伸びとなった電子部品・デバイスは前月比▲1.3%の低下となった。
製造工業生産予測指数は、12年2月が前月比1.7%、3月が同1.7%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(1月)、予測修正率(2月)はそれぞれ0.2%、0.7%であった。実現率、予測修正率がともにプラスとなったのは、東日本大震災前の11年2月速報時以来ほぼ1年ぶりのことである。
12年1月の生産指数を2月、3月の予測指数で先延ばしすると、12年1-3月期の鉱工業生産は前期比5.4%の上昇となる。また、2月、3月の予測指数の伸びが実現すれば、生産指数の水準は3月には震災前(11年2月)を上回ることになる。
引き続き、海外経済、為替、原油など外部環境の悪化によって下振れするリスクはあるものの、今月の結果は鉱工業生産が昨年夏場以降の足踏み状態から脱却しつつあることを示したものと評価することができるだろう。
(2012年02月29日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1836
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
斎藤 太郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/06/20 | 消費者物価(全国25年5月)-コアCPIは食料中心に上昇率拡大も、夏場には3%割れへ | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2025/06/18 | トランプ関税による企業収益への影響~輸出数量減少よりも輸出価格引き下げのほうが悪化幅は大きい~ | 斎藤 太郎 | 研究員の眼 |
2025/06/18 | 貿易統計25年5月-米国向け自動車輸出が価格低下を主因として大幅減少 | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2025/06/09 | 2025・2026年度経済見通し-25年1-3月期GDP2次速報後改定 | 斎藤 太郎 | Weekly エコノミスト・レター |
新着記事
-
2025年06月24日
医療機関の経営危機、報酬改定と予算編成はどうなる?-物価・賃金上昇の影響は深刻、骨太方針の文言を読み解く -
2025年06月24日
欧州大手保険Gの内部モデルの適用状況について-2024年のSFCRからのリスクカテゴリ毎の標準式との差異説明の報告等- -
2025年06月24日
日本国債市場における寡占構造と制度的制約-金利上昇局面に見られる構造的脆弱性の考察 -
2025年06月24日
サイバー対処能力強化法の成立-能動的サイバー防御 -
2025年06月24日
今週のレポート・コラムまとめ【6/17-6/23発行分】
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
【鉱工業生産12年1月~生産は足踏み状態から脱却へ】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
鉱工業生産12年1月~生産は足踏み状態から脱却へのレポート Topへ