2012年02月24日

フランスの「保険相互グループ会社」(SGAM)制度

キャサリン・グリーン

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■見出し

1--------はじめに~フランスの保険市場とSGAM制度~
2--------フランスの保険相互会社セクターとSGAM制度導入の経緯
3--------SGAM制度の目的
4--------SGAMグループの設立
5--------SGAMグループにおける意思決定機関
6--------SGAM制度の特徴 ~持株会社・提携・合弁との概念比較~
7--------SGAMグループの設立状況
8--------SGAM制度における運営内容比較 ~3大SGAMグループを中心に比較
9--------SGAMグループの保険監督
10--------今後の展望 ~欧州における相互保険グループ制度の検討~

■introduction

フランスの保険業界は、年間保険料収入でみると、アメリカ、日本、イギリスに次ぐ規模を有しており、共済組合や相互扶助組合等も加えた保険相互会社セクターは国内保険市場で39%のシェアを占める。他の欧州諸国と比較して、フランスには歴史的に多数の保険相互会社が存在し、相互扶助組織的な性格が強いことから根強い支持を受けている。一方で、中小規模の会社が多いため、国内市場における競争激化の中で会社数は合併等を通じ年々減少傾向にある。
このような状況を受け、フランスでは2000年代に入って以降、保険相互会社や共済組合等が各社の会社形態や経営の独立性を維持しつつ、グループ形成を通じた規模の拡大や事業多角化等によって競争力を強化するための法制度が整備されてきている。この中で、現在、最も順調に事業展開されているのが「保険相互グループ会社(Société de Groupe d' Assurance Mutuelle、以下、SGAM)」と呼ばれる制度である。
SGAM制度は、「相互会社版持株会社グループ」のイメージに近い。同制度では、グループに加盟する会社が共同で基金を拠出し、グループ運営の中心となるSGAMと呼ばれる法人(以下、SGAM法人)を設立、SGAM法人がグループ運営に必用な意思決定機能を定款に明記するとともに、加盟会社と個々に提携契約を締結することで、資本関係を介さずにグループ運営に必要な機能を確保する。
現在、SGAM制度はフランスに固有であるが、近年、ドイツや英国を含む欧州の保険相互会社セクターも興味を示しており、欧州レベルで検討しようとする動きも見られる。本稿では、SGAMの概要を説明するとともに、現在、欧州で行われているSGAMについての議論を紹介したい。
(本稿は生命保険経営第79巻第2号(平成23年3月号)に掲載した「フランスの『相互保険グループ会社』(SGAM)制度」に一部修正・加筆したものである。)

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