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2011年12月22日
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- 中国の住宅市場にバブル崩壊ともいえる動きがでてきた。浙江省にある温州市では中古住宅が直近の高値(今年2月)と比べて9.4%下落、北京市では住宅在庫が約2年半ぶりの高水準に達し、上海市では販売店の展示物を破壊するという事件が発生するなど、中国のバブル崩壊懸念は現実味を帯びてきた。
- ここ数年中国の住宅価格は大きく上昇してきた。しかし、マクロ的にみると住宅価格の上昇とともに所得水準も上昇したため、高度成長期の日本や1990年代後半-2000年代前半の米国と比べるとバブルはまだ小粒であり、破裂した時のダメージも小さいとみえる。
- 一方、マクロ的にはまだ小粒でも、セミマクロ的にみるとバブルの膨らみ度が大きい地域・物件もある。特に沿海部の高級マンションは、その地域の平均賃金の20倍前後に達しており下値の余地は大きい。一部の地域・物件だけでもバブルが破裂すると、それがトリガーとなって経済全体が悪循環に陥るリスクもあるため、バブルを完全に潰すのは得策ではない。
- 11月30日に中国人民銀行は預金準備率を引き下げると発表、金融政策の微調整の第一弾を実行に移した。住宅価格抑制策は当面維持される見込みだが、バブルの行方次第では更なる金融緩和もありうる。日本を含めた先進国の前例をみても、バブルのコントロールは政策当局にとって極めて難しい舵取りだけに、今後の政策運営の巧拙が問われる。
(2011年12月22日「Weekly エコノミスト・レター」)
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