2011年12月21日

貿易統計11年11月~貿易赤字(季節調整値)の継続期間はリーマン・ショック時に並ぶ

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・貿易収支(季節調整値)は8ヵ月連続の赤字
・EU向け輸出の落ち込みが顕著に

■introduction

財務省が12月21日に公表した貿易統計によると、11月の貿易収支は▲6,847億円と2ヵ月連続の赤字となり、事前の市場予想(QUICK集計:▲4,400億円、当社予想は▲3,927億円)を下回った。輸入は前年比11.4%となり、10月の同17.9%から伸びが大きく鈍化したが、円高、海外経済減速の影響から輸出が前年比▲4.5%と2ヵ月連続で減少し、減少幅は10月の同▲3.8%から拡大した。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比▲4.5%(10月:同▲4.0%)、輸出価格が前年比0.1%(10月:同0.2%)であった。輸入の内訳は、輸入数量が前年比▲1.0%(10月:同6.0%)、輸入価格が前年比12.5%(10月:同11.2%)であった。
季節調整済の貿易収支は▲5,379億円の赤字となり、赤字幅は10月の▲4,957億円から拡大した。貿易赤字は8ヵ月連続となり、赤字の継続期間はリーマン・ショック時(08/8~09/3)に並んだ。
輸出の減少幅拡大は、円高、海外経済の減速にタイの洪水の影響が加わったことによるものである。タイ向けの輸出、タイからの輸入はそれぞれ前年比▲24.0%、▲11.9%と急速に落ち込んだ。
輸入は火力発電の増強に伴う液化天然ガスの急増が大きく寄与している。
タイの洪水は収束に向かいつつあるため、輸出入への影響が長期化する可能性は低いと考えられるが、円高、海外経済減速に伴う輸出の低迷はしばらく継続することが見込まれる。一方、輸入は燃料費増加の影響などから高めの伸びを維持するため、11年度中は貿易赤字(季節調整値)が続くことが予想される。

(2011年12月21日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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