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■introduction
10月の対米国ドル人民元相場(基準値)は、11日に1ドル=6.3483元と最高値を更新した後、14日には1ドル=6.3762元まで下落するなど比較的大きな調整局面を経たものの、その後は緩やかな人民元高を許容する動きに戻り、10月下旬には再び最高値更新が続く展開となった(図表-1)。ここ数ヵ月の基準値は、7月の0.4%上昇、8月の0.9%上昇、9月の0.5%上昇に続いて、10月は0.5%上昇となり、緩やかなピッチでの人民元高のトレンドに変化は無かった。
また、10月前半に調整局面があった背景には、11日に米国上院が事実上の対中制裁法案である「為替相場監視改革法案」を可決したことがある。翌12日には中国の外務省、商務省、人民銀行などが一斉に断固反対するコメントを発表すると共に、対米国ドル人民元相場(基準値)を引き下げるという実力行使に出たことから緊張が高まり、世界では米中貿易戦争勃発かと懸念する報道が増えた。但し、その後は米国下院やオバマ大統領がこの法案を慎重に取り扱う姿勢をみせたことなどから緊張が緩和、本音では米国との全面対決を避けたい中国政府も、10月下旬には人民元高を許容するスタンスに戻したことから緊張状態は安定化方向に向かっている。
(2011年11月02日「経済・金融フラッシュ」)
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