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- 金融市場の動き(9月号)~円高と原油高の挟み撃ち
2011年09月02日
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- (円高と原油高が並存) 円高には円建て輸入価格を引き下げるプラス効果があるが、近年の原油価格は円建てでも急上昇。円高効果を原油価格上昇が上回っているためだ。日本は円高に伴う輸出採算悪化と原油高に伴うコスト上昇の挟み撃ちにあっている。需給の点では、世界経済が減速すると原油価格は下落するはずだが、中東の混乱が続いていることや米金融緩和によって構造的に原油価格が高止まりしている。日本の製造業の経営環境は厳しく、震災前の11年第1四半期の経常利益額で見てもピークの62%に留まる。米は今後追加緩和に踏み切る公算が高いが、その際既にインフレに苦しんでいる新興国への悪影響も想定され、日本企業にとっては、円高・原油高に加え外需減少という三重苦にもなりかねない。
- (日米欧金融政策) 8月に入り、日銀が基金増額による追加緩和を実施、米FRBは「少なくとも13年半ばまでの政策金利据え置き」方針を表明し時間軸を強化した。利上げで先行したECBも最近は域内景気の減速で舵取りが難しくなっている。市場の利上げ期待もさらに後退し、日米欧ともに利上げ期待がほぼ消滅している。
- (金融市場の動き) 8月の金融市場では世界的に株価が下落、円高ドル安がさらに進行、債券はやや上昇した。米国の追加金融緩和への期待により、足元の市場は落ち着きを取り戻しているものの、根本にある欧米経済減速懸念は根強く、今後もリスク回避姿勢が強い状態が続く可能性が高い。円高、債券高圧力が続くだろう。
(2011年09月02日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
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