2011年06月17日

日銀短観(6月調査)予測~大企業製造業の業況判断D.I.は13ポイント悪化の▲7、先行きは改善へ

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

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  1. 震災の影響が完全に反映される6月調査短観では、震災によって企業マインドが大きく下振れした姿が示される結果になりそうだ。生産再開、サプライチェーン復旧は順調に進んでおり、大企業製造業の景況感は最悪期を脱しているとみられるものの、生産水準は未だ震災前をかなり下回っている。資源高に伴うコスト上昇もあり、量・採算両面での厳しさが足元の景況感として現れる。非製造業でも震災直後の自粛ムードは緩和しているものの、消費の萎縮は続いており悪化は避けられない。中小企業では、取引先の減産や消費の萎縮を通じたマイナス影響が強く働くだろう。一方、先行きについては、今後サプライチェーンの完全復旧や復興需要が期待されるため、製造業を中心に改善を示すだろう。
  2. 11年度設備投資計画については、前回からやや上方修正されると予想。例年6月調査では、計画の具体化に伴い大きめの上方修正が行われる傾向があるが、今回は震災の影響で計画策定が遅れているため修正幅が制約される。実態面でも、復旧等に伴う投資需要が発生している反面、計画先送りの動きも生じているとみられ、力強さにはやや欠ける展開となる。
  3. 今回短観では企業の景況感の先行きの改善がどのように示されるかが注目される。夏場の電力需給逼迫など抑制要因も存在する中で、「V字回復が見込まれるのか」勢いが注目される。他にも、稼働率が落ちている中で企業の雇用・設備過剰感がどこまで出ているか、需要・供給ともに減少している中で需給バランスはどう判断されているかなど、今後の回復の実現性をみる上で注目点は目白押しだ。



日銀短観業況判断D.I.の予測表
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経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴
  • ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
    ・ 2007年 日本経済研究センター派遣
    ・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
    ・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

    ・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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