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- 中国経済の見通し:電力不足に揺れる中国経済の行方
2011年05月27日
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- 中国では前年同期比9%台後半の高成長が続いている。高成長を支えるのは投資で、特に不動産開発が高い伸びを示す。自動車販売の鈍化で心配される消費だが、労働報酬が高い増加率を示していることから消費全体が大幅に減速する可能性は低いと予想する。
- 景気を生産面からみると、4月の工業生産(付加価値ベース)の伸びが3月までと比べて大きく鈍化した。この背景には、東日本大震災による部品供給減少もあるとみられるが、影響範囲の広さを考えると中国で深刻化した電力不足の影響が大きいとみられる。
- 高成長持続とともにインフレ懸念も高まっている。消費者物価の上昇は、食品価格の上昇に始まり、エネルギー価格の上昇、更には食品やエネルギーを除くコア部分へも波及、価格統制は限界に近付いている。他方、住宅価格の上昇も続くが、上昇率は緩やかで価格統制の想定範囲内とみられる。
- 深刻化した電力不足問題の背景には、消費者物価を抑制するための価格統制があり、原料価格の上昇を電力料金に価格転嫁できない発電会社が稼働率を引き下げたことが直接的な原因となった。価格統制を続ければ電力不足、価格統制を緩めればインフレ懸念という状況の中で、「経済発展パターンの転換加速」を巡る問題も絡み、中国は「インフレなき持続的成長」か「高成長維持」かの重要な岐路に立たされている。
- 今後の見通しは、総合的に進められてきた金融引締めの累積的な効果と不動産開発の鈍化を受けて、経済成長率は2011年8.8%増、2012年9.3%増と予想している。

(2011年05月27日「Weekly エコノミスト・レター」)
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