- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 暮らし >
- 消費者行動 >
- 若年層の生命保険加入先と加入商品
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
株式会社ニッセイ基礎研究所による生命保険マーケット調査(2009)に基づき、20歳代と30歳代の生命保険加入先と加入商品の関係を分析したところ、主に3つの特徴が分かった。尚、下図(本文中)では、ベクトルは加入先の種類、座標点は商品の種類を示す。加入先同士はベクトル同士のなす角度が小さいほど、商品同士は座標点の位置が近いほど若年層に同様の加入行動をとられていると読み取る。また、加入先と商品の関係は、ベクトルを原点から延ばした延長線上に座標点から下ろした垂線との交点の位置が原点より遠くにあるほど、若年層にとって加入先と商品が強く結びついていると読み取る。
まず、1つ目の特徴は、若年層は国内大手生保とかんぽ生命に対して、全く同じと言っても良いほど、非常に良く似た加入行動をとっているということだ。この2つの加入先は、他の加入先ベクトルと角度が開いていることより、他とは明確に異なる加入先と認識されていることも読み取れる。2つ目は、若年層にとって医療保険・入院保険の加入先は圧倒的に共済(もしくは外資系生保)であるということだ。尚、終身保険や定期付終身保険は、国内大手生保やかんぽ生命が選ばれる傾向が強い。3つ目は、若年層にとって、がん保険や養老保険、介護保険、変額個人年金保険は、加入先と結びついていないということだ。これらの商品は若年層にとって、まだ自分に必要な保障として認識されにくく、加入率も低いため、特徴的な加入行動が見えにくいようだ。
以上は若年層のみの分析結果だが、他の年齢層の分析結果と比較することで、若年層の特徴をより浮き彫りにすることもできるだろう。様々な視点の分析を組み合わせることによって、「保険離れ」と呼ばれる若年層に対しても、有効なアプローチ方法を見つけ出せる可能性がある。
(2011年04月25日「基礎研マンスリー」)
03-3512-1878
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
久我 尚子のレポート
| 日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
|---|---|---|---|
| 2025/11/04 | パワーカップル世帯の動向(2)家庭と働き方~DINKS・子育て・ポスト子育て、制度と夫婦協働が支える | 久我 尚子 | 基礎研レポート |
| 2025/10/27 | 大学卒女性の働き方別生涯賃金の推計(令和6年調査より)-正社員で2人出産・育休・時短で2億円超 | 久我 尚子 | 基礎研レポート |
| 2025/10/23 | パワーカップルと小学校受験-データで読み解く暮らしの風景 | 久我 尚子 | 研究員の眼 |
| 2025/10/21 | インバウンド消費の動向(2025年7-9月期)-量から質へ、消費構造の転換期 | 久我 尚子 | 基礎研レポート |
新着記事
-
2025年11月07日
フィリピンGDP(25年7-9月期)~民間消費の鈍化で4.0%成長に減速、電子部品輸出は堅調 -
2025年11月07日
次回の利上げは一体いつか?~日銀金融政策を巡る材料点検 -
2025年11月07日
個人年金の改定についての技術的なアドバイス(欧州)-EIOPAから欧州委員会への回答 -
2025年11月07日
中国の貿易統計(25年10月)~輸出、輸入とも悪化。対米輸出は減少が続く -
2025年11月07日
英国金融政策(11月MPC公表)-2会合連続の据え置きで利下げペースは鈍化
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【若年層の生命保険加入先と加入商品】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
若年層の生命保険加入先と加入商品のレポート Topへ










