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中国経済の見通し:ソフトランディングに向かう中国経済、「出口戦略」実施後の新たな経済政策は?

三尾 幸吉郎
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- 中国経済は、昨年1-3月期を底としてV字回復し、今年第1-3月期には実質で前年同期比11.9%増の高成長となったが、4-6月期は同10.3%増と5四半期ぶりに減速した。中国政府が4月に打ち出した不動産価格抑制策は、予想以上に企業マインドに悪影響、在庫の過剰感も高まっており、投資需要の伸びは当面鈍化傾向を示すと見られる。
- 他方、6月の消費者物価指数は前年同月比2.9%上昇となり、5月の同3.1%上昇と比べると0.2%ポイントの低下となった。賃上げ要求の高まりや物価の遅行性から、当面物価は上昇傾向で推移すると見られるが、景気減速で年末頃にはインフレ懸念も収束する可能性が高い。
- 不動産価格は下落に転じバブル崩壊を懸念する声が高まってきた。中国政府の不動産価格抑制策を受けて調整局面が続くと見られるが、中国のバブル度は低く、農村から都市への人口流入で実需も増えることから、調整は小幅に留まり、銀行の不良債権問題には波及しないと見られる。
- 今後の経済見通しは、物価上昇による実質減価や投資の伸び率鈍化から景気は減速傾向を続け、年末頃にはインフレ懸念も収束、中国経済はソフトランディングに向かう。2011年に入ると、第12次5ヵ年計画の具体化により「出口戦略」後の主役と見られる民間投資が勢いを取り戻し、中国経済は内需主導の新たな成長軌道を歩み始めると見ている。
- また、リスクシナリオとしては、欧州問題の深刻化と不動産価格の大幅下落が挙げられる。欧州経済が失速した場合には、中国経済にも影響が及ぶが、中国には財政出動で景気を支える余力があることから失速は避けられるとの見方。一方、不動産価格が想定以上に下落した場合は、銀行の不良債権問題に直結する可能性があり、深刻な不況に至るリスクがある。
(2010年07月23日「Weekly エコノミスト・レター」)
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