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■見出し
1. 高まるオフィスREITの収益変動リスク
2. J-REITの運用環境
3. オフィスREITの収益ボトムラインの考察
おわりに
■introduction
世界的な金融危機を背景に、極度の信用収縮状態から機能不全に陥っていたJ-REIT (不動産投資信託)市場は、2009年10月以降、公募増資による物件取得を再開するなど、本来の資金調達機能や不動産の買い手としての存在感が回復し、投資口価格も落ち着きを取り戻している。
これは、政府と民間の一体支援を通じて、政策投資銀行による危機対応融資、日本銀行による投資法人債の適格担保化、「不動産市場安定化ファンド(官民ファンド)」創設といった市場セーフティネットが整備され、合併促進に向けた会計・税制面での制度改正を受けて4件合併が成立するなど、市場の頑健性、効率性が大きく改善したためと思われる。
もっとも、J-REIT市場の本格的な回復には、本業である賃貸事業純収益(賃料収入-賃貸事業費用、NOI:Net Operating Income)、特に、運用不動産の約56%を占めるオフィス市況の底打ちが必要との意見が多い。実際、2008年9月のリーマンショックにより急低下した国内株式の予想1株利益(以下、EPS)が既に底打ちし反転している一方、 J-REITの予想EPSは下落傾向が続き回復が遅れている。
一般に、オフィス市況は景気循環や企業業績に対して遅行性があり、賃料収入以外の収益源を持たないJ-REITは、当然ながら収益のピークやボトムもこれらに遅行する。そして、こうした不動産サイクルに沿った緩やかな収益変動が、株式や債券など他の金融商品にないJ-REITの商品特性であり強みだと言える。しかし、不動産賃貸市況の低迷が長期化するなか、オフィスREITの収益変動リスクがこれまで以上に高まっているのも事実であろう。
そこで本稿では、現在の運用環境を確認したのち、J-REITが保有するオフィスビルの運用実績を参考に「モデルオフィスREIT」を設定、これに、ニッセイ基礎研究所の賃料推計モデルを適用し、現在のテナントが支払っている賃料(以下、現行賃料)と市場賃料のかい離(以下、賃料ギャップ)を推定することで、収益ボトムラインを考察する。
(2010年04月05日「不動産投資レポート」)
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03-3512-1858
- 【職歴】
1993年 日本生命保険相互会社入社
2005年 ニッセイ基礎研究所
2019年4月より現職
【加入団体等】
・一般社団法人不動産証券化協会認定マスター
・日本証券アナリスト協会検定会員
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