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- 通勤混雑の緩和が続く三大都市圏
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国土交通省によれば、三大都市圏の主要区間における平均混雑率は東京圏が171%、大阪圏が130%、名古屋圏が139%となっている(08年度実績値)。同省より公表されている混雑度の目安では、東京圏が「折りたたむなど無理をすれば新聞を読める」、大阪・名古屋圏が「広げて楽に新聞を読める」程度となっている。もっとも、当該数値は、各地域の主要区間における最混雑時間帯1時間の平均であり、東京圏を例にとると、最も混雑率の高い京浜東北線の上野・御徒町間(209%)から最も低い中央線(緩行)の代々木・千駄ヶ谷間(91%)まで区間により混雑率の幅は大きい。長期的な推移を確認すると、三大都市圏の通勤混雑は緩和傾向にある。75年の混雑率は東京圏(221%)、大阪圏(199%)、名古屋圏(205%)のいずれも200%前後と高水準であったが、その後は現在に至るまでほぼ一貫して低下している。混雑率緩和の要因をみるために、調査対象区間の輸送人員(混雑率の分子=実際の乗客数)、輸送力(分母=1編成当たり定員に運行本数を乗じたもの)の推移について確認すると、75年から93年にかけては、輸送人員・輸送力ともに増加したが、輸送力の伸びが輸送人員の伸びを上回った。車両の増結や列車増発などから、この間東京圏でおよそ1.6倍となるなど、輸送力の大幅増加が、混雑率低下に大きく寄与した。93年から08年にかけては、輸送力の伸びが横ばいとなる中、代替路線の開業や、フレックスタイム制・時差出勤制導入企業の増加などによって輸送人員が減少に転じ、混雑率低下に大きく寄与している。
加えて、今後は少子・高齢化の進行に伴い通勤混雑の主役である生産年齢人口の減少が進む。結果、輸送人員の更なる減少要因となり、三大都市圏の通勤混雑の緩和は続く公算が大きい。
(2010年03月26日「基礎研マンスリー」)
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