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- マクロ統計から見た13カ国家計のバランスシート-住宅資産、金融資産と負債の国際的な動向
- 日本以外の12カ国(オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、オランダ、ニュージーランド、スウェーデン、スイス、英国、米国)において、1990年代後半から2006、2007年まで住宅資産残高の可処分所得に対する割合は上昇を続けた。既存住宅のキャピタルゲインによって、特に著しい上昇が見られたのは2002年以降の期間であり、ニュージーランド、英国、フランス、イタリア、アイルランド、スウェーデンの6カ国では上昇幅が100%ポイントを上回った。
- 2002~2007年は金融資産もすべての国で大きく増加した。また、住宅ローンを中心に負債も増え、アイルランド、米国などでは住宅資産の伸びを上回るほどであったが、これらの国を含めて住宅資産と金融資産を合わせた資産総額の増加ペースの方が大きかったため、12カ国の正味資産の可処分所得比は上昇を続け、そのうちの10カ国で上昇幅が100%ポイントを上回った。
- しかし、深刻な金融危機が世界的に拡大した2008年には住宅価格と株価がともに大幅下落し、すべての国の正味資産残高の可処分所得に対する比率は大きく低下した。特に、2002~2007年における上昇幅の半分以上が1年間で失われた国は、住宅資産については4カ国、金融資産については10カ国、正味資産については8カ国に及んだ。
- イタリアを例外として、家計の負債の大部分は住宅ローンである。住宅ローン残高の可処分所得比については、住宅価格上昇期もあまり変化しなかった7カ国(スウェーデン、フランス、イタリア、カナダ、日本、ドイツ、スイス)と大きく上昇した6カ国(オランダ、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランド、英国、米国)に二分される。後者の国々では2007年末の住宅ローン残高は可処分所得を上回っていたが、住宅価格下落後も残高減少に至ったのは米国と英国のみであり、家計貯蓄率が小幅上昇したのは米国とアイルランドにとどまっている。
- 今後はこれまでのような規模でキャピタルゲインが生じないとすれば、米国やアイルランドだけでなく、低い家計貯蓄率を続けてきたニュージーランド、英国、オーストラリアにおいても、負債の縮減に向けて消費抑制・貯蓄増加が求められるであろう。
(2009年12月28日「経済調査レポート」)
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