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- 地方公共団体に対する格付けと財政指標の関係 -順序プロビットモデルによる地方公共団体格付けの分析-
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地方債発行団体には自立性と自己責任が強く求められる「市場化」が急速に進む一方、財政上の健全性を維持・向上するための仕組みも地方公共団体財政健全化法によって再編・強化されている。こうしたなか、投資家へ判断材料を提供する観点、専門機関から評価を受けることを通じて行財政運営の透明性を高める観点などから、地方公共団体が格付けを取得することはもはや珍しいことではなくなっている。
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「市場化」が加速する中での信用維持を担う地方公共団体財政健全化法において、健全化判断比率は地方公共団体の自己点検と自己規律を促す役割を果たしていると言え、外部機関による格付けにも健全化判断比率を中心とする財政指標の考え方が体現されているかなど、地方公共団体格付けと財政指標との関係が注目される。そこで、格付けを被説明変数、地方公共団体財政健全化法の下での財政指標を説明変数とする順序プロビットモデルを推定し、代表的な財政指標を組み合わせることにより地方公共団体に対する格付けを説明できるかどうか、財政指標の係数符号から判断される影響の方向性と健全な財政状況を維持するうえで当該指標に求められる方向性とが一致するかどうかを検証した。
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市場公募地方債発行団体に対する非依頼格付け3年度分のデータを用いた推定結果からは、「財政力指数が高い」、「実質赤字比率が低い」、「連結実質赤字比率が低い」、「実質公債費比率が低い」、「債務保証・損失補償契約に係る債務残高の標準財政規模比が低い」、「債務償還余力が高い」場合に高い格付けとなることが示され、総合的に見て、都道府県に対する格付けは地方公共団体財政健全化法の下での財政指標の考え方と概ね整合的であることが確認された。
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都道府県と政令市の係数に有意な違いがある変数に着目すると、第3セクター法人に対する債務保証・損失補償契約に係る債務残高は都道府県の格付けのみに、債務超過の第3セクター法人の純債務残高は政令市にのみ影響が認められ、いずれの指標とも低いほど高い格付けにつながることが示された。また、政令市の格付けに関しては、都道府県の格付けとは反対方向に連結実質赤字比率と実質公債費比率が影響しているという結果となり、解釈が困難な部分も残った。
(2009年11月25日「ニッセイ基礎研所報」)
石川 達哉
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