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- 法人企業統計09年4-6月期~企業収益は持ち直すも依然低水準
■見出し
・経常利益の水準はピーク時の3分の1にとどまる
・設備投資の減少幅は製造業が非製造業を上回る
・4-6月期・GDP2次速報は上方修正を予測
■introduction
財務省が9月4日に公表した法人企業統計によると、09年4-6月期の全産業(金融業、保険業を除く、以下同じ)の経常利益は前年比▲53.0%(09年1-3月期:同▲69.0%)と、8四半期連続の減少となった。
引き続き大幅な減益となったが、原油をはじめとした資源価格の下落に伴う変動費の大幅な減少(1-3月期:前年比▲20.4%→4-6月期:同▲17.5%)が続く中、輸出の持ち直しに伴い売上高の減少ペースが緩やかとなった(1-3月期:前年比▲20.4%→4-6月期:同▲17.0%)ため、減益幅は前期よりも縮小した。
製造業の経常利益は0.7兆円(前年比▲89.2%)となり、1-3月期の▲2.2兆円の赤字から黒字に転じた。ただし、季節調整値では▲0.7兆円の赤字(1-3月期:▲0.9兆円の赤字)となっており、現時点では製造業の収益が赤字基調を脱したとは言えない。非製造業は前年比▲26.4%(1-3月期:同▲22.1%)となり、減少幅は前期よりも拡大した。
季節調整済の経常利益は、全産業が5.2兆円(製造業:▲0.7兆円、非製造業:5.9兆円)となった。1-3月期の4.6兆円からは若干持ち直したものの、ピーク時(07年1-3月期の15.9兆円)に比べると約3分の1の水準にとどまっている。
売上高経常利益率は全産業ベースで2.4%となり、前年に比べ▲1.9ポイントの悪化となった(1-3月期は▲2.1ポイントの悪化)。製造業が▲5.0ポイント、非製造業が▲0.6ポイントと引き続き製造業の悪化が顕著となっている。ただし、コストの削減が続く中、売上高の減少ペースが若干緩やかとなったため、製造業の利益率の悪化幅は1-3月期(前年差▲7.1ポイント)からは縮小した。
4-6月期の経常利益が1-3月期から減少幅を縮小させた主因は、急速な落ち込みを続けてきた輸出がこのところ持ち直しの動きを続けていることである。貿易統計の輸出金額は1-3月期の前年比▲46.9%から4-6月期には同▲38.5%へと減少幅が縮小し、これに伴い製造業の売上高も1-3月期の前年比▲31.4%から同▲26.8%と減少ペースが緩やかとなった。7-9月期以降も輸出の動向が企業収益を左右する展開が続くことになろう。
経常利益の内訳を業種別に見ると、製造業は18業種中8業種が赤字(原数値)となった(1-3月期は18業種中14業種が赤字。ただし、4-6月期から一部で業種分類の改定が行われたため、単純な比較はできない)。輸送用機械(▲831億円)、情報通信機械(▲3,306億円)、電気機械(▲1,010億円)はいずれも3四半期連続の赤字となった。3業種ともに生産活動は昨年秋以降の急速な落ち込みが止まり、ここにきて持ちなおしの動きが明確となっているが、生産活動の水準が依然として低いものにとどまっていることが響いている。
非製造業では、原油価格下落の効果から1-3月期に6四半期ぶりに黒字に転じた電気は今期も黒字(3,664億円)となったが、建設業が赤字(▲402億円)に転じたほか、卸・小売業の減益幅が拡大した(1-3月期:前年比▲30.7%→4-6月期:同▲40.6%)。
労働分配率(当研究所による季節調整値)は69.7%となった。過去最高水準となった1-3月期の72.1%からは若干低下したものの、依然として歴史的高水準にある。製造業が1-3月期の80.4%から74.3%へ、非製造業が1-3月期の69.3%から68.4%へと低下した。
企業はすでに雇用、賃金の本格的な削減を行っているが、今後削減ペースは一段と加速する可能性が高いだろう。
(2009年09月04日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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