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- 偽造・盗難キャッシュカードに対する補償
コラム
2009年07月10日
6月30日、金融庁が発表した「偽造キャッシュカード等による被害発生等の状況について」によれば、2008年度の預貯金の被害はつぎのとおりであり、被害件数は2007年度に比べいずれも減少している。
・偽造キャッシュカードの被害: 398件(うち処理方針決定済357件。補償されたもの351件)
・盗難キャッシュカードの被害:4,744件(うち処理方針決定済3,928件。補償されたもの2,039件)
・盗難通帳の被害: 228件(うち、処理方針決定済172件。補償されたもの95件)
・インターネットバンキングによる被害:127件(うち、処理方針決定済47件。補償されたもの30件)
金融庁Q&Aには、この問題の背景として「平成18年2月10日より、偽造・盗難カード預金者保護法(略称)が施行されました。この法律により、偽造キャッシュカード被害は、預金者に故意又は重過失がなければ被害額の全額が補償されます。盗難キャッシュカード被害は、(1)金融機関への速やか(30日以内)な通知、(2)金融機関への十分な説明、(3)警察署・交番への届出、の要件を満たした場合に被害額の全額が補償されます(但し、預貯金者に過失がある場合には補償額が被害額の4分の3に減額されるほか、故意又は重過失がある場合には補償されません。)。」と説明されている。
偽造・盗難カード預金者保護法は、第一条において「偽造カード等又は変造カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等による被害が多数発生していることにかんがみ、これらのカード等を用いて行われる機械式預貯金払戻し等に関する民法の特例等について定めるとともに、これらのカード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等の防止のための措置等を講ずることにより、(中略)預貯金者の保護を図り、あわせて預貯金に対する信頼を確保し、もって国民経済の健全な発展及び国民生活の安定に資する」ことを目的にすると定めている。すなわち、偽造・盗難カードによる被害が多発し、社会問題化したことを背景に制定されたものであるが、同法では盗難通帳による被害、インターネットバンキングによる被害は補償されていない。
この点について、金融庁Q&Aでは、「盗難通帳による不正な預金引き出しの被害は、偽造・盗難カード預金者保護法の対象とはなりませんが、民法の規定(筆者注:民法第478条の債権の準占有者による弁済)により、金融機関に過失がある場合、預金の払出しが無効とされ、補償されることとなります。」と説明している。
偽造・盗難カード預金者保護法付則第三条では(検討)として、「この法律の規定については、急速な情報化の進展、金融サービス等に関する技術の高度化等のカード等を用いて行われる機械式預貯金払戻し等を取り巻く状況の変化及びこの法律の実施状況等を勘案し、預貯金者の一層の保護を図る観点から、この法律の施行後二年を目処として検討が加えられ、必要があると認められるときは、その結果に基づいて所要の措置が講ぜられるものとする」と規定されており、付帯決議でも「金融機関の窓口における不正な預貯金の払戻しについて、速やかに、その防止策及び預貯金者の保護の在り方を検討し必要な措置を講ずること」「インターネットバンキングに係る犯罪等については、速やかに、その実態の把握に努めその防止策及び預貯金者等保護の在り方を検討し必要な措置を講ずること」とされている。
こうした動向を受け、全国銀行協会は、2008年2月19日に、盗難通帳やインターネットバンキングによる預金等の不正な払戻しについて、銀行に過失がない場合でも、顧客自身の責任によらずに遭った被害については補償する旨の申し合わせを行っている。
・偽造キャッシュカードの被害: 398件(うち処理方針決定済357件。補償されたもの351件)
・盗難キャッシュカードの被害:4,744件(うち処理方針決定済3,928件。補償されたもの2,039件)
・盗難通帳の被害: 228件(うち、処理方針決定済172件。補償されたもの95件)
・インターネットバンキングによる被害:127件(うち、処理方針決定済47件。補償されたもの30件)
金融庁Q&Aには、この問題の背景として「平成18年2月10日より、偽造・盗難カード預金者保護法(略称)が施行されました。この法律により、偽造キャッシュカード被害は、預金者に故意又は重過失がなければ被害額の全額が補償されます。盗難キャッシュカード被害は、(1)金融機関への速やか(30日以内)な通知、(2)金融機関への十分な説明、(3)警察署・交番への届出、の要件を満たした場合に被害額の全額が補償されます(但し、預貯金者に過失がある場合には補償額が被害額の4分の3に減額されるほか、故意又は重過失がある場合には補償されません。)。」と説明されている。
偽造・盗難カード預金者保護法は、第一条において「偽造カード等又は変造カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等による被害が多数発生していることにかんがみ、これらのカード等を用いて行われる機械式預貯金払戻し等に関する民法の特例等について定めるとともに、これらのカード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等の防止のための措置等を講ずることにより、(中略)預貯金者の保護を図り、あわせて預貯金に対する信頼を確保し、もって国民経済の健全な発展及び国民生活の安定に資する」ことを目的にすると定めている。すなわち、偽造・盗難カードによる被害が多発し、社会問題化したことを背景に制定されたものであるが、同法では盗難通帳による被害、インターネットバンキングによる被害は補償されていない。
この点について、金融庁Q&Aでは、「盗難通帳による不正な預金引き出しの被害は、偽造・盗難カード預金者保護法の対象とはなりませんが、民法の規定(筆者注:民法第478条の債権の準占有者による弁済)により、金融機関に過失がある場合、預金の払出しが無効とされ、補償されることとなります。」と説明している。
偽造・盗難カード預金者保護法付則第三条では(検討)として、「この法律の規定については、急速な情報化の進展、金融サービス等に関する技術の高度化等のカード等を用いて行われる機械式預貯金払戻し等を取り巻く状況の変化及びこの法律の実施状況等を勘案し、預貯金者の一層の保護を図る観点から、この法律の施行後二年を目処として検討が加えられ、必要があると認められるときは、その結果に基づいて所要の措置が講ぜられるものとする」と規定されており、付帯決議でも「金融機関の窓口における不正な預貯金の払戻しについて、速やかに、その防止策及び預貯金者の保護の在り方を検討し必要な措置を講ずること」「インターネットバンキングに係る犯罪等については、速やかに、その実態の把握に努めその防止策及び預貯金者等保護の在り方を検討し必要な措置を講ずること」とされている。
こうした動向を受け、全国銀行協会は、2008年2月19日に、盗難通帳やインターネットバンキングによる預金等の不正な払戻しについて、銀行に過失がない場合でも、顧客自身の責任によらずに遭った被害については補償する旨の申し合わせを行っている。
(2009年07月10日「研究員の眼」)
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