2009年06月26日

消費者物価(全国09年5月)~コアCPIは過去最大の下落率に

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・コアCPIは▲1.1%と過去最大の下落率
・全国コアCPIのマイナス幅は2%台へ

■introduction

総務省が6月26日に公表した消費者物価指数によると、5月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比▲1.1%となり、下落幅は前月から1.0ポイントの急拡大となった(ロイター集計:▲1.2%、当社予想は▲1.3%)。01年5月の前年比▲1.0%を上回り、現行統計で比較可能な1971年以降では最大の下落率となった。
食料(酒類除く)及びエネルギーを除く総合は前年比▲0.5%(4月:同▲0.4%)、総合は前年比▲1.1%(4月:同▲0.1%)となった。
コアCPIの内訳を見ると、燃料価格の変動が迅速に反映される新料金制度の導入に伴い、電気代(4月:前年比5.7%→5月:同▲0.1%)、ガス代(4月:前年比4.5%→5月:同2.4%)の上昇率が急低下したことに加え、昨年4月に暫定税率が失効した影響で一時的に下落率が縮小していたガソリン価格が前年比▲26.4%(4月:同▲12.1%)とマイナス幅が再び拡大したため、エネルギー全体では前年比▲11.5%(4月:同▲3.6%)と下落率が急拡大した。
食料品(生鮮食品を除く)は前年比1.4%(4月:同2.0%)と7ヵ月連続で伸びが鈍化した。食料品の前年比上昇率は夏場にはマイナスに転じる可能性が高いだろう。
コアCPIのうち、エネルギーによる寄与が▲1.03%(4月は▲0.30%)、食料品(生鮮食品を除く)が0.31%(4月は0.45%)、その他が▲0.37%(4月は▲0.25%)であった。
消費者物価指数の調査対象524品目(生鮮食品を除く)を、前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると、5月の上昇品目数は267品目(4月は282品目)、上昇品目数の割合は51.0%となり、前月の53.8%から低下した。下落品目数は204品目(4月は194品目)で、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は12.0%となり、4月の16.8%から大きく低下した。
引き続き上昇品目数が下落品目数を上回っているものの、その差は7ヵ月連続で縮小しており、物価下落が徐々に広範化していることがうかがえる。ちなみに、東京都区部では5月以降、下落品目数が上昇品目数を上回っている。

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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