2009年04月17日

中国GDP発表:1-3月期成長率は6.1%と鈍化傾向

三尾 幸吉郎

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4月16日、中国国家統計局は1-3月期のGDPを発表した。実質GDP成長率は、前年同期比6.1%増と、前四半期の6.8%増から更に鈍化し、減速傾向を強めている。世界景気の大幅な落ち込みが、高度成長を続けてきた中国にも徐々を影響しつつあることが確認できた結果といえよう。
景気減速の主因は、前年同期比20%弱の減少となった輸出にあると考えられ、輸出の急速な減少が、意図せざる在庫を増やし生産を抑制しているものと見られる。一方、投資の状況を見ると、1-3月期の固定資産投資が前年同期比28.8%増と高成長を維持している。これは、政府が昨年11月に打ち出した4兆元の景気刺激策により、鉄道等のインフラ整備に伴う投資が加速し、財政支出の大幅増加(1-3月期で前年同期比34.8%)も貢献していると見られる。また、消費の状況を見ると、1-3月期の社会消費品小売総額も前年同期比15.0%増と高い伸びを維持している。ただし、所得の伸び率が鈍化傾向を示し始めていることを勘案すると、消費の高い伸び率は、政府が打ち出した「家電下郷」、「汽車下郷」といった消費促進策で下支えされているものの、力強さには欠ける結果と考えられる。
さて、今後の展開だが、世界景気の急減速はやや落ち着きを見せているものの、大幅な改善は望みづらく輸出には頼れない中で、(1)今回発表のGDPが政府の掲げた8%成長の目標を下回っていること、(2)温家宝首相が3月の全国人民代表大会後の記者会見で「さらなる困難に対応する計画をすでに準備している」と述べていたこと、(3)10月の建国60周年を控え高成長を保ち中国共産党の求心力を維持する必要があること等から、今後、中国政府は新たな景気刺激策を打ち出す可能性が高まったと考えられる。

(2009年04月17日「経済・金融フラッシュ」)

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