- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 中国経済 >
- 中国GDP発表:1-3月期成長率は6.1%と鈍化傾向
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
■introduction
4月16日、中国国家統計局は1-3月期のGDPを発表した。実質GDP成長率は、前年同期比6.1%増と、前四半期の6.8%増から更に鈍化し、減速傾向を強めている。世界景気の大幅な落ち込みが、高度成長を続けてきた中国にも徐々を影響しつつあることが確認できた結果といえよう。
景気減速の主因は、前年同期比20%弱の減少となった輸出にあると考えられ、輸出の急速な減少が、意図せざる在庫を増やし生産を抑制しているものと見られる。一方、投資の状況を見ると、1-3月期の固定資産投資が前年同期比28.8%増と高成長を維持している。これは、政府が昨年11月に打ち出した4兆元の景気刺激策により、鉄道等のインフラ整備に伴う投資が加速し、財政支出の大幅増加(1-3月期で前年同期比34.8%)も貢献していると見られる。また、消費の状況を見ると、1-3月期の社会消費品小売総額も前年同期比15.0%増と高い伸びを維持している。ただし、所得の伸び率が鈍化傾向を示し始めていることを勘案すると、消費の高い伸び率は、政府が打ち出した「家電下郷」、「汽車下郷」といった消費促進策で下支えされているものの、力強さには欠ける結果と考えられる。
さて、今後の展開だが、世界景気の急減速はやや落ち着きを見せているものの、大幅な改善は望みづらく輸出には頼れない中で、(1)今回発表のGDPが政府の掲げた8%成長の目標を下回っていること、(2)温家宝首相が3月の全国人民代表大会後の記者会見で「さらなる困難に対応する計画をすでに準備している」と述べていたこと、(3)10月の建国60周年を控え高成長を保ち中国共産党の求心力を維持する必要があること等から、今後、中国政府は新たな景気刺激策を打ち出す可能性が高まったと考えられる。
(2009年04月17日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ
三尾 幸吉郎
三尾 幸吉郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/04/15 | 図表でみる世界の民主主義-日本の民主主義指数は上昇も、世界平均は低下。世界ではいったい何が起きているのか? | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
2024/12/16 | 図表でみる世界のGDP-日本が置かれている現状と世界のトレンド | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
2024/07/30 | 図表でみる世界の人口ピラミッド | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
2024/04/05 | 不動産バブルの日中比較と中国経済の展望 | 三尾 幸吉郎 | 基礎研マンスリー |
新着記事
-
2025年04月30日
今週のレポート・コラムまとめ【4/22-4/28発行分】 -
2025年04月28日
リスクアバースの原因-やり直しがきかないとリスクはとれない -
2025年04月28日
欧州委、AppleとMetaに制裁金-Digital Market Act違反で -
2025年04月25日
世界人口の動向と生命保険マーケット-生保マーケットにおける「中国の米国超え」は実現するのか- -
2025年04月25日
年金や貯蓄性保険の可能性を引き出す方策の推進(欧州)-貯蓄投資同盟の構想とEIOPA会長の講演録などから
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【中国GDP発表:1-3月期成長率は6.1%と鈍化傾向】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
中国GDP発表:1-3月期成長率は6.1%と鈍化傾向のレポート Topへ