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- 「クローン技術」の投資ビジネスへの応用 ~ヘッジファンドの末路~
コラム
2009年02月06日
「クローン技術」と聞くと、クローン羊やクローン牛を思い出す人も多いだろう。「クローン」とは、「遺伝的に同一である個体や細胞の集合」のことで、クローン羊やクローン牛とは、成熟した羊や牛の体細胞からクローン(体細胞クローン)が作られ、お互いに全く同じ遺伝子組成を持った複数の羊や牛のことである。また人間に対するクローン技術の適用については、生命倫理上の問題を伴うことから、各国政府は人のクローン固体の作成を禁止している。
ところで昨今、投資ビジネス、特にヘッジファンド運用において、「クローン技術」が注目されている。ここでの「クローン技術」は、先に紹介した遺伝子や細胞の組み換えによる生物の複製技術のことではなく、個々のヘッジファンドやファンド・オブ・ヘッジファンズ(複数のヘッジファンドの集合体となっている商品)に投資することなく、株式や債券など伝統的な資産のインデックス(指数)に投資しながら、ヘッジファンドと同等水準のリターンを得ようとする「ヘッジファンド・クローン」(ヘッジファンド複製商品)のことである。
ヘッジファンド投資には従来、運用報酬が高い、流動性・透明性が低い、市場の拡大・成熟化に伴い運用者の平均的なスキルが低下している、などの疑問や懸念が呈されてきた。しかし、ヘッジファンド投資には、伝統的な資産との分散効果や絶対的なリターンを期待できるため、魅力的な投資対象である。そこで、上記のような疑問や懸念を少しでも払拭しようとして生まれたのが、「ヘッジファンド・クローン」である。
「ヘッジファンド・クローン」を作成するには、(1)ヘッジファンドが行っていると想定される取引戦略をパターン化して類似の運用成果を目指すヘッジファンド戦略の複製、(2)伝統的な資産のインデックスを組み合わせて、過去のリターンがヘッジファンドに追随するようにモデル化したリターンの複製、(3)資産の価格付け理論や統計解析を用いて、ヘッジファンドのリターンと類似した分布を作成するリターン分布の複製、などの方法がある。
このように「クローン技術」は生命科学のみならず、ヘッジファンド運用の世界にも進出している。金融危機を契機にヘッジファンド規制も囁かれる中、ヘッジファンド投資の欠点を補うような商品の今後の動向は注目されるが、大方のヘッジファンドでクローンが精度良く複製できるようになれば、優秀な成績を出し続ける運用者への投資が集中して、ファンドの選別・淘汰の流れはより一層進むこととなろう。また、より低額な運用報酬で「ヘッジファンド・クローン」の複製が可能となれば、これまでの高額な運用報酬を要求してきた時代に終わりを告げることとなろう。
ところで昨今、投資ビジネス、特にヘッジファンド運用において、「クローン技術」が注目されている。ここでの「クローン技術」は、先に紹介した遺伝子や細胞の組み換えによる生物の複製技術のことではなく、個々のヘッジファンドやファンド・オブ・ヘッジファンズ(複数のヘッジファンドの集合体となっている商品)に投資することなく、株式や債券など伝統的な資産のインデックス(指数)に投資しながら、ヘッジファンドと同等水準のリターンを得ようとする「ヘッジファンド・クローン」(ヘッジファンド複製商品)のことである。
ヘッジファンド投資には従来、運用報酬が高い、流動性・透明性が低い、市場の拡大・成熟化に伴い運用者の平均的なスキルが低下している、などの疑問や懸念が呈されてきた。しかし、ヘッジファンド投資には、伝統的な資産との分散効果や絶対的なリターンを期待できるため、魅力的な投資対象である。そこで、上記のような疑問や懸念を少しでも払拭しようとして生まれたのが、「ヘッジファンド・クローン」である。
「ヘッジファンド・クローン」を作成するには、(1)ヘッジファンドが行っていると想定される取引戦略をパターン化して類似の運用成果を目指すヘッジファンド戦略の複製、(2)伝統的な資産のインデックスを組み合わせて、過去のリターンがヘッジファンドに追随するようにモデル化したリターンの複製、(3)資産の価格付け理論や統計解析を用いて、ヘッジファンドのリターンと類似した分布を作成するリターン分布の複製、などの方法がある。
このように「クローン技術」は生命科学のみならず、ヘッジファンド運用の世界にも進出している。金融危機を契機にヘッジファンド規制も囁かれる中、ヘッジファンド投資の欠点を補うような商品の今後の動向は注目されるが、大方のヘッジファンドでクローンが精度良く複製できるようになれば、優秀な成績を出し続ける運用者への投資が集中して、ファンドの選別・淘汰の流れはより一層進むこととなろう。また、より低額な運用報酬で「ヘッジファンド・クローン」の複製が可能となれば、これまでの高額な運用報酬を要求してきた時代に終わりを告げることとなろう。
(2009年02月06日「研究員の眼」)
伊藤 拓之
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