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「2007年問題」と騒がれた団塊世代の定年・リタイアは静かに進行している。その世代の一員である筆者の元にも、同期生からの定年の挨拶状が相次いで届くようになってきた。
いよいよ、700万人に近いといわれる団塊世代が、保険料を納める側から給付を受ける側に移ってゆこうとしている。彼らが年金生活に入り、体のあちこちにガタが来はじめて、病院通いを始めたり介護保険のお世話になったりするようになれば、社会保障給付は一気に膨れ上がることになる。
目下の社会保障制度改革の議論が、実は自分達がこれから長生きして医療や介護のお世話になるための財源を確保するためのものでもあると思うと、少々忸怩たる気持ちに襲われる。
とはいえ、団塊世代の側としても、これから先自分がどれだけ長生きしてしまうのか、病気になったり認知症になった時に、ちゃんと治療や介護が受けられるのだろうかとの不安は大きい。自助努力だ、自己責任だ、と言われて将来のためにと思って買った投信や株は値下がりし、最近の経済の混乱を見ると銀行や保険会社に頼り切るのも不安。最後はやはり社会保障に期待せざるを得ない、というのも偽らざる気持ちだろう。
しかし、昨今の政治の状況を見ていると、とても近い将来十分頼りになる社会保障制度が出来上がるとは思えない。だとすればそれを手を拱いて待ってもいられない。この際自分達に必要なものは自分達で用意することを考えざるを得ないのではないだろうか?
たとえばアメリカのAARP(旧全米退職者協会)は、1958年に一人の退職した女性教師が、自分たちに必要な医療保険を手に入れるために仲間を集めて始めたものだが、会員に対して魅力的な様々なサービスを提供することで急速に拡大し、今や全米で39百万人もの会員を抱える組織になってきた。
団塊世代も、自分たちの長生きリスクや医療・介護リスクに備え、必要な保障やサービスを自分達の手で用意する「団塊の団塊による団塊の為の相互扶助活動」を本気になって考えてみてはどうだろうか?
同時に、その活動を通じて生きがいを感じることができれば、病気で寝たきりになったり認知症になったりするリスクも減って社会保障のお世話になる度合いもさらに下がり、後に続く人達に「これこそ本当の自助努力であり、同時に我々団塊世代にできる立派な社会貢献だ」と胸を張って言えるのではないだろうか?
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赤松 秀樹
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