2008年10月02日

東京にオフィスワーカーはいったい何人いるのか? 国勢調査の不詳値拡大により把握が困難に

竹内 一雅

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■見出し

1. 東京のオフィスワーカーの減少と不詳値の拡大
2. 他統計における就業者数、オフィスワーカー数の動向
3. 求められる不詳値の減少

■要旨

1. 国勢調査は、オフィスワーカー数を把握するための基礎資料であり、これに基づき、われわれはオフィス需要の現状把握、将来予測などを実施してきた。
2. 2005年の国勢調査によると、2000年から2005年にかけて東京都区部のオフィスワーカー数は、2.0%(7万人)減少し、1995年をピークに減少が続いている。一方、2000年以降の国勢調査では、労働力人口にも非労働力人口にも含まれない、労働力状態不詳値が急増している。2005年の不詳値は都区部だけで85万人に達したが、これはオフィスワーカー数331万人の26%に相当する。仮に、労働力状態不詳値の1割が、都区部でオフィスワーカーとして働いていたとすれば、2000年から2005年にかけてオフィスワーカー数は、減少ではなく増加していたことになる。
3. そこで、主要な雇用統計(労働力調査、就業構造基本調査、毎月勤労統計調査地方調査結果、事業所・企業統計調査)における2000年以降の就業者数の推移を、対応する国勢調査の調査項目と比較してみると、国勢調査以外の全ての調査で就業者数が増加しているのに対し、国勢調査では減少となっている。また、2000年から2005年は、六本木、汐留、品川をはじめ、都区部では大規模なオフィスビル開発が続き、オフィスストックが大幅に増加した時期でもある。以上から、2005年の国勢調査では、オフィスワーカーの一部が労働力状態不詳値に含まれ、オフィスワーカー数が過少評価されている可能性が高いと推測される。
4. このように、2005年の国勢調査では、都区部オフィスワーカー数を正確に把握することが困難な状況にある。総務省も有識者懇談会を開催し、国勢調査の配布や回収、広報などの対策をまとめているが、それらの効果的な実行により、次回2010年の国勢調査では、労働力状態不詳値が大幅に減少し、オフィスワーカー数に関する基礎データとしての役割を取り戻すことが強く望まれる。

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