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CDS価格情報を用いた信用力指標の算出可能性について
金融研究部 主任研究員・年金総合リサーチセンター・ジェロントロジー推進室・ESG推進室兼任 高岡 和佳子
大山 篤之
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企業のデフォルト事由を取引対象とするCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の取引量は拡大しつつあり、またその認知度も高まりつつある。取引対象が企業のデフォルト事由であることから、CDSの取引価格には個別企業の信用力に関する情報が含まれると考えられる。そこで、CDSの市場価格を基に個別企業の信用力指標の算出を試みた。
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まず、CDS価格の理論式を導出し、CDS価格の主たる決定要因が企業の信用力であることを確認した。その上で、市場参加者の心理的バイアスや、需給や流動性の問題といった企業の信用力とは関係のない要因もCDS価格に影響を与えるため、それらの要因を排除・軽減するような方策を検討し、信用力指標算出手法を構築した。
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実際のCDS価格データを用い、信用力指標を算出し、その振る舞いを確認した結果、個別企業の信用力を表す指標である格付け機関が付与する信用格付けと高い関連性が確認される一方で、当該指標特有の動きをすることも判明した。また、信用力の変化から算出指標の変化に至るまでに、それなりの時間を要することも判明した。
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とはいえ、CDS価格情報を用いた信用力指標の算出は、従来の格付け機関が付与する信用格付けを補完する有益な情報を提供するものと考えられる。信用力変化時のCDS価格推移の特徴を上手く捉えることなどによって、より即時性の高い信用力指標への改善の他、市場参加者の感覚により合致した指標への改良などが今後の課題である。
(2008年09月26日「ニッセイ基礎研所報」)
大山 篤之
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