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- 雇用・賃金統計08年2月~年末賞与が4年ぶりに減少
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■見出し
・雇用者数が3年ぶりに減少
・年末賞与は4年ぶりに減少
■introduction
総務省が3月28日に公表した労働力調査によると、2月の完全失業率は前月から0.1ポイント悪化し3.9%となった(ロイター事前予想:3.8%、当社予想も3.8%)。
雇用者数が前年比▲0.3%(1月:同0.5%)と、2005年2月以来3年ぶりの減少となり、就業者数も前年比▲0.2%(1月:同0.7%)となった。失業者は前年に比べ4万人減と27ヵ月連続で減少したが、減少幅は昨年夏場以降、縮小傾向が続いている。
失業率の悪化幅は0.1ポイントにとどまったが、これは労働力率が低下(非労働力化が進展)したことにより失業者の増加が抑えられた面がある。労働力率(15歳以上人口に占める労働力人口の割合)は、59.4%と前年よりも0.2ポイント低下した。労働需給を反映しやすい雇用者数が減少に転じたことは大きな懸念材料であり、2月の結果は失業率の数字が示す以上に悪い内容と言える。
ただし、労働力調査は月々の振れが大きい統計であるため、今月の結果で雇用が基調として減少に転じたと判断するのは早計だ。後述するように、より安定的な動きをする毎月勤労統計の常用雇用者数は前年比で2%程度の高い伸びを続けており、労働力調査との乖離が広がっている。雇用情勢の基調を判断するためには、もう少し様子を見る必要があろう。
雇用者数の内訳を従業員規模別に見ると、29人以下の中小企業は6ヵ月連続で減少し、2月は減少幅が大きく拡大した。原材料高に伴う収益環境の悪化などから、中小企業の雇用情勢はより厳しさを増している。産業別には、製造業が2ヵ月連続で大幅減少となったが、年明け以降の生産活動の停滞が雇用の悪化につながっている可能性がある。また、建築基準法改正に伴う住宅着工の落ち込みの影響で、建設業の雇用は07年12月以降減少しているが、減少幅は縮小している。
厚生労働省が3月28日に公表した一般職業紹介状況によると、2月の有効求人倍率は前月から0.01ポイント低下し0.97倍となった(ロイター事前予想:0.98倍、当社予想は0.97倍)。有効求人数は前年比▲11.0%と3ヵ月連続で二桁のマイナスとなった。
有効求人倍率の先行指標である新規求人倍率は1.40倍と、前月から0.09ポイントの大幅悪化となっており、有効求人倍率の低下傾向はしばらく続く可能性がある。
(2008年03月31日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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