2008年03月26日

RMBSの金利上昇による影響

千田 英明

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■目次

1.RMBSの特徴
2.金利上昇による影響
3.おわりに

■introduction

RMBS(Residential Mortgage Backed Securities、住宅ローン債権担保証券)とは、金融機関等が融資した住宅ローンをまとめ、債券として発行する証券化商品である。これは、通常の債券と同様に元本・クーポンはあらかじめ確定するが、償還期日は確定しない。償還期日は住宅ローンの期日であるが、住宅ローン債務者はいつでも自由に期限前返済(以下、プリペイメント)する権利を持っているため、その期日は住宅ローン債務者のプリペイメント動向に依存することになるからである。
債券の価格や利回りは、元本・クーポン・償還期日の3つが決まれば、計算することができる。よって、償還期日が決まっていないRMBSの価格を、通常の債券と同様に評価する場合、何らかの方法で償還期日を予測する必要がある。それには、住宅ローン債務者のプリペイメントが、どのくらいの割合で起こるか(プリペイメント率)を予測できれば良い。
このプリペイメント率を予測するには、過去に発生したプリペイメント率を分析する必要があるが、RMBSの代表的な銘柄である住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)からは、1996年5月以降のプリペイメント率に関するデータが公表されている。そのデータを分析する前に、プリペイメント率は主に次の2つの要因で発生しているものと考えられる。
(1)契約期間による影響
住宅ローン契約当初、債務者は余裕資金がないためプリペイメントは発生しにくいが、契約期間の経過とともに余裕資金が貯まり、プリペイメント率が上昇していく。ただし、ある程度の期間(5年程度)をピークとし、その後のプリペイメント率は低下、または横ばいとなる。
(2)金利低下による影響
金利が低下すると、住宅ローン債務者は他社ローンへ借り換えた方が有利となるため、プリペイメント率は上昇する。
そこで、弊社が開発したプリペイメントモデルにより、(1)と(2)に要因分解した結果を図表-1に示す。実際のプリペイメント率((1)+(2))と、金利の影響を除去したプリペイメント率(1)との差が、金利低下による影響(2)となる。実際のプリペイメント率より、金利の影響を除去したプリペイメント率の方が低いのは、データ公表期間である1996年5月以降が概ね金利低下局面であったことによる。

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