- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 家計の貯蓄・消費・資産 >
- 国際比較で見る1世帯当たりの資産と負債-11カ国の世帯調査統計に基づいて-
- 米国、オーストラリア、日本、カナダ、韓国、イタリア、ノルウェー、フィンランド、デンマーク、スウェーデン、ニュージーランドの11カ国における1世帯当たりの平均正味資産残高は、448,200ドルの米国が最も大きく、平均所得に対する倍率は、総所得比7.97倍、可処分所得9.84倍のオーストラリアが最も高い。
- 社会保障給付が厚い北欧4カ国の平均正味資産は、米ドル換算額、所得比のいずれで見ても、低水準である。特に、社会保障給付が総所得に対して11カ国中最高の30.7%を占めるスウェーデンでは、正味資産の総所得比は最も低い1.06倍にとどまっている。対照的に、カナダの総所得に占める社会保障給付は10.0%だが、私的年金資産が正味資産の33.6%、金融資産の73.6%も占めている。
- 正味資産の中位値が利用可能な7カ国について比較すると、米ドル換算額と中位所得比のいずれも、最も高いのがオーストラリア、最も低いのがスウェーデンである。世帯間の資産格差の大きい米国は金額では5位、中位所得比では6位に後退する。
- 正味資産の内訳に関しては、全11カ国において、実物資産が金融資産を上回っている。また、デンマーク、ノルウェー、スウェーデンでは負債が金融資産より大きく、総資産に対する割合も30%超と他の国の2倍を超えているほか、負債の可処分所得比もサブプライムローン問題で揺れる米国の1.40倍を上回っている。
- 日本以外の国では、90年代末から平均正味資産残高が年率換算3.0~8.5%で増加している。これには、実物資産が大きく寄与する一方、並行して負債も増えており、住宅価格上昇と借入れ条件緩和の影響が共通して見られる。今後、各国で住宅価格の下落が起これば、増大した負債が家計の支出を抑制することは免れない。
(2007年10月16日「経済調査レポート」)
このレポートの関連カテゴリ
石川 達哉
研究・専門分野
石川 達哉のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2018/12/28 | 同床異夢の臨時財政対策債-償還費を本当に負担するのは国か、地方か? | 石川 達哉 | 研究員の眼 |
2018/07/13 | 「地方財源不足額」は本当に解消されているのか?―先送りされ続ける臨時財政対策債の償還財源確保 | 石川 達哉 | 基礎研レポート |
2017/08/31 | 再び問われる交付税特会の行方-地方財政の健全性は高まったのか? | 石川 達哉 | 基礎研レポート |
2017/07/03 | 増大する地方公共団体の基金残高 その2-実は拡大している積立不足!? | 石川 達哉 | 研究員の眼 |
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年09月19日
家計消費の動向(~2024年7月)-物価高で食料や日用品を抑え、娯楽をやや優先だが温度差も -
2024年09月19日
米住宅着工・許可件数(24年8月)-着工件数は前月、市場予想を上回る。住宅ローン金利の低下が住宅需要に追い風 -
2024年09月18日
日銀短観(9月調査)予測~大企業製造業の業況判断DIは1ポイント低下の12と予想、価格転嫁の勢いに注目 -
2024年09月18日
欧州経済見通し-景況感の回復に乏しく、成長は緩慢 -
2024年09月18日
曲線にはどんな種類があって、どう社会に役立っているのか(その8)-リサージュ曲線・バラ曲線-
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
【国際比較で見る1世帯当たりの資産と負債-11カ国の世帯調査統計に基づいて-】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
国際比較で見る1世帯当たりの資産と負債-11カ国の世帯調査統計に基づいて-のレポート Topへ