- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- ジェロントロジー(高齢社会総合研究) >
- 高齢者のQOL(生活の質) >
- 「家族が縮む」少子高齢社会のすまい-「減築」のすすめ
「家族が縮む」少子高齢社会のすまい-「減築」のすすめ

土堤内 昭雄
このレポートの関連カテゴリ
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
一方、日本の住宅総数は世帯数とともに増加しており、今後も総人口が減少するものの住宅総数は増加するとみられる。2003年の住宅総数は5,389万戸だが、その中には空き家(別荘などの2次的住宅、賃貸用の住宅、売却用の住宅等)659万戸が含まれている。空き家率は12.2%で、その10年前に比べると212万戸(47.3%)増加しており、今後も空き家数は増え続けるだろう。
空き家が増加する背景には、現在の住宅ストックと世帯構造の間のミスマッチが考えられる。最初の住宅取得は家族が成長・拡大する時期が多いが、やがて子どもの独立などにより家族が縮小してもそのまま住み続ける人も多い。60~70年代の高度経済成長期に作られた大都市圏近郊のニュータウンなどでは、子どもが世帯分離し、高齢夫婦だけが住む一戸建て住宅が多くみられる。このようなミスマッチを解消するには、既存の住宅ストックを活用した「減築」が有効と思われる。
平成15年の総務省「住宅・土地統計調査」によると、「高齢単身」世帯および「高齢夫婦のみ」世帯の住宅室数は平均で4.36室と5.47室で、高齢者世帯はかなり部屋数の多い住宅に住んでいる。「減築」により2階建てを平屋にしてバリアフリー化を図ったり、余分なスペースを取り除いて住宅の維持管理の手間やコスト、時間を節約することができる。また、「減築」は必ずしも面積を小さくするだけではなく、部屋数を減らし一部屋を大きくすることや風呂、トイレ、廊下などに面積的なゆとりを持たせるなど、高齢期の身体機能やライフスタイルに合うようにリフォームすることも可能だ。
「減築」は特に高齢期のすまいとして重要だ。体型が変わりサイズが合わなくなった服は、体の寸法に合うようにリフォームすれば着心地が良くなる。すまいも同様で、「減築」により変化する世帯構成にフィットした住宅の快適さは容易に想像できるだろう。「家族が縮む」少子高齢社会においては、すまいも「拡大・成長」から「縮小・成熟」への発想が求められている。
(2007年10月11日「研究員の眼」)
このレポートの関連カテゴリ
土堤内 昭雄
研究・専門分野
土堤内 昭雄のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2018/12/20 | 「定年退社」します!-「生涯現役」という人生の「道楽」 | 土堤内 昭雄 | 研究員の眼 |
2018/11/28 | 「人生100年時代」の暮らし方-どう過ごす?! 定年後の「10万時間」 | 土堤内 昭雄 | 基礎研レポート |
2018/11/27 | 「平成」の30年を振り返って-次世代へのメッセージは、「レジリエントな社会づくり」 | 土堤内 昭雄 | 研究員の眼 |
2018/10/23 | 「幸せ」実感できぬ社会-豊かな時代のあらたな課題 | 土堤内 昭雄 | 研究員の眼 |
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2025年02月14日
マレーシア経済:24年10-12月期の成長率は前年同期比+5.0%~内需が好調で堅調な成長ペースを維持 -
2025年02月14日
英国GDP(2024年10-12月期)-前期比0.1%と低空飛行が続く -
2025年02月14日
保険と年金基金における各種リスクと今後の状況(欧州 2025.1)-EIOPAが公表した報告書(2025年1月)の紹介 -
2025年02月14日
企業のマーケティングや営業にもサステナビリティ変革の足音-34年ぶりのマーケティング定義刷新に見る地方創生への期待 -
2025年02月14日
グローバル株式市場動向(2025年1月)-DeepSeekショックにより半導体関連銘柄は下落
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【「家族が縮む」少子高齢社会のすまい-「減築」のすすめ】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
「家族が縮む」少子高齢社会のすまい-「減築」のすすめのレポート Topへ