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■目次
1.ある組織における高齢化
2.高齢化に対する従業員のリスク認識
3.来るべき時代に求められるタフさ
■introduction
2005年、47歳(注1)のA課長には8名の部下がいる。部下の半分はA課長より年上で、その中に女性が2名いる。高齢者・女性・若者の労働市場への参加が進んだ2030年、47歳のB課長が管理する部下9名(注2)の内訳をみると、45歳以上が6名(うち女性3名)となっている。
さて、A課長もB課長も、まんざら架空の管理職ではない。労働政策研究・研修機構が行った就業者数(全国)の推計(注3)を、2005年時点で部下8名(注4)の組織に無理矢理圧縮してみたものである(注5)。上述の組織は、高齢者等の労働市場への参加が進む楽観的な想定に基づくものだが、悲観シナリオ(参加が進まないケース)をあてはめると、B課長の部下は4名(注6)まで減少し、組織の存続も危うくなっている。
わが国の高齢化は、国際的にも未体験なゾーンに突入しつつある。大企業を中心に根強く残る年功序列が維持できなくなることは、もはや明らかである。また、職能資格制度は従業員のモチベーションの維持・向上に貢献した反面、課長相当職(実際の役割は課長ではないが、課長と同格に扱われる)を増加させたが、今後は課長相当職にもなれない従業員が増加していく可能性が高い。さらに、一度高い役職や労働条件を確保した従業員が、それを失う可能性も高い。企業が必死で策を練ったとしても、管理職が、年長者を含む多様な人材を、実質的な部下としてマネジメントするという事態は避けられまい。
企業における「高齢化」とは、たとえばこういうことである。
松浦 民恵
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