2007年08月16日

国際比較で見る所得格差と高齢化の動向

石川 達哉

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  1. 1980年代半ば以降の日本、米国、英国、イタリア、シンガポール、韓国について、1世帯当たりの所得に関するジニ係数を計測すると、1980年代後半と1990年代前半は韓国を除く5カ国において格差拡大傾向が見られ、1990年代後半は全6カ国において格差拡大傾向が見られる。

  2. 2000年代前半は、英国、イタリア、シンガポール、韓国が横ばいから格差縮小傾向に転じたのに対して、日本、米国では明確な基調変化は見られない。

  3. 米国と英国では、他の階層と比べて高所得層の所得増加が著しく、日本とシンガポールでは中間層と比べて低所得層の所得低迷が目立っている。

  4. 1980年代半ばから現在に至るまで、米国と英国では、世帯主65歳以上の世帯の割合も平均世帯人員もほとんど変化していないのに対して、日本、イタリア、シンガポール、韓国では、高齢化と世帯規模の縮小が急速度で進んできた。

  5. 年齢構成が不変だった場合との比較を通じて、日本においては、高齢化が統計上の所得格差を拡大させてきたことが確認できる。同様の効果はイタリアとシンガポールにも定性的には認められるものの、量的な効果が必ずしも大きいとは言えない。

(2007年08月16日「経済調査レポート」)

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