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- EU拡大は小休止、統合深化重視の局面に
2007年01月26日
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- 今年1月1日にEUは27カ国、ユーロ圏は13カ国に拡大した。経済規模の変化は僅かだが、人口は6.3%増え、域内の所得格差は広がった。
- EU域内の所得格差は、域内の生産要素移動や、信用力向上・立地条件改善による金利低下、域外からの資本流入増大により、低所得国のキャッチ・アップが加速することで縮小すると期待される。移民流入制限や通貨の障壁にも関わらず、2004年に新規加盟した移行国のキャッチ・アップは概ね順調に進展している。しかし、多くの旧加盟国が新規加盟国からの労働移動の制限を継続する一方、ユーロ導入の目標を延期する新規加盟国が増えており、拡大EU内の統合の深さのばらつきはなお残っている。
- EUの新規加盟対象国のトルコと西バルカン諸国が、加盟条件すべてに適合するまでには時間が必要である。EUの側でも、新規加盟国の受け入れに先立って、「第5次拡大」で生じた統合の深さのばらつきを緩和することや、「EU憲法条約」を成立させ、制度面での体制を整える必要がある。EUの地域的拡大は必然的に小休止となろう。
(2007年01月26日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職
・ 2015~2024年度 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017~2024年度 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022~2024年度 Discuss Japan編集委員
・ 2022年5月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員
・ 2024年10月~ 雑誌『外交』編集委員
・ 2025年5月~ 経団連総合政策研究所特任研究主幹
伊藤 さゆりのレポート
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