2006年04月21日

ユーロ圏の長期金利上昇

経済研究部 常務理事 伊藤 さゆり

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  • 昨年9月に過去最低の3%となったドイツの長期金利は、2006年入り後、日米に比べ速いテンポで上昇、昨年秋までとは逆にスプレッドは米独間で縮小、日独間で拡大している。利上げを織り込んだ2年国債金利の上昇でフラット化していたイールド・カーブはスティープ化し、ユーロ圏内の「信用リスク・プレミアム」も、ドイツの長期金利上昇に連れて緩やかに拡大している。
  • ユーロ圏の長期金利上昇は、インフレ期待に大きな変化が見られない中で、サーベイ調査などの景気拡大を示す材料やECB高官の発言から、ECBの金融政策の正常化が年内にも完了するとの見方を織り込んだものである。
  • ECBの6月の利上げは確実視されるが、その後は、累計75bpの利上げ効果と内外環境変化の影響を見極めるため、政策金利変更には慎重に対応せざるを得なくなるだろう。インフレ期待が顕著に高まらない限り、市場が織り込んでいるペースで金融政策の正常化が実現する可能性は低い。「非常に低い」とされる長期金利の上昇の余地はあるが、上昇のペースは、今後、より緩やかなものとなるだろう。
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伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

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