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1.
日本の総人口は2006年をピークに長期的な減少傾向に入る。しかし、従来のまちづくりは、人口フレームが常に拡大することを前提としてきた。今後は少子高齢化が進展し、さらに人口減少の時代を迎え、住宅・まちづくりは大きな転換点を迎えている。
2.
これまで高齢化問題は、高齢化率の高い地方において顕著であったことから過疎問題と重ねて語られることが多かった。しかし、2000年から30年までの東京圏の1都3県の老年人口の増加数は445万人で、今後は大都市圏において高齢化問題が顕著になるが、大都市圏の住宅形態、家族形態、地価や土地利用形態、就業形態などは地方と異なり、大都市圏固有の高齢化対策が必要となろう。
3.
また、今後の世帯構造は標準世帯であった「夫婦と子世帯」は減少し、「単独世帯」と「夫婦のみ世帯」が増加し、15年にはこれら世帯人員が2人以下の小規模世帯が過半数を占める。日本の住宅ストックは世帯数を1割以上上回っているが、世帯と住宅のミスマッチは拡がっている。
4.
2000年の介護保険制度の導入とその普及により高齢者の終の棲家は「庭付き持家戸建」だけではなくなる。高齢者の住み方や働き方などライフスタイルも多様化し、多種多様な加齢対応住宅を含めた高齢期の住まいの選択肢が拡がり、小規模世帯向けの住宅需要が見込まれる。
5.
大都市圏の高齢化の進展が最も顕著となるのは郊外部のニュータウンだ。60年代以降、大都市に集中する人口の受皿として開発されてきたニュータウンは、当時、新たな都市型ライフスタイルを具現化するものだった。それから40年以上が経過し、ニュータウンは人口・世帯構造の変化、経済環境の変化、ライフスタイルの変化に直面し、多くの課題を抱えている。
6.
今、オールドタウン化しつつあるニュータウンの再生に向けては、少子高齢化への対応とともに人口減少時代に相応しい職住近接のまちづくりやコンパクトなまちづくりが重要だ。そして衰退しつつある地域コミュニティを再生し、持続可能な活力ある社会づくりが求められている。
(2006年01月26日「ニッセイ基礎研所報」)
土堤内 昭雄
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